今週の一枚 ONE OK ROCK『FOOL COOL ROCK! ONE OK ROCK DOCUMENTARY FILM』

今週の一枚 ONE OK ROCK『FOOL COOL ROCK! ONE OK ROCK DOCUMENTARY FILM』

ONE OK ROCK
『FOOL COOL ROCK! ONE OK ROCK DOCUMENTARY FILM』
11月12日発売



ヨーロッパ、アジアをツアーして回ったドキュメンタリー映画のDVD/Blu-ray版。

こういう作品は過剰な演出や大げさな物語の押し付けがあったりしてファン以外は観ててうんざりすることも多いが、
そんなこともなく、11ヶ国で演奏した1ヶ月半の彼らのライブとフッテージをストレートに見せてくれる。
普通の国内ライブハウスツアーを追ったDVDを観てる時の気分と変わらなくて、
一緒にツアーしてるような気分になれて楽しい。

それはつまり彼ら自身やスタッフたちが「海外ツアー」というものを普段の国内ツアーと同じ、その延長線上にある当たり前のものとして捉えているからだと思う。
そして、この作品のメッセージはそのことに尽きるのだと思う。

とは言っても、フランスで開演の何時間も前からライブハウスの回りに並んでいるパリッ子たちの列を見て
「ウソやん!!!」「俺らのファン? まさかちゃうやろ?!」
と舞い上がったりもしてるし、
マレーシアでスタッフと現地のライブハウスの連携がうまく行かずに凹んだり、
アジア独特のベタな「囲み取材」に困り果ててたりと、
「普段のツアーとは違う体験」に右往左往しているメンバーの姿もたくさん収められている。
そういう意味では、海外進出に挑戦するバンドの闘いを捉えた映画とももちろん言える。
そしてこれまでもそうしたバンドのドキュメンタリーはいくつもあった。

でも、バンドの姿勢がもはや違うのだ。
ネットでどこの国のどんな音楽にもどんなバンドにもどんな文化にもアクセスできる今の時代において、
どんなに遠い国であろうがそこに自分達のリスナーがいるのは不思議なことでもなんでもないし、
そこに自分達のリスナーやファンがいるならそこへライブをやりに行くことはごく自然なこと。
そんな感覚が普通に当たり前になった世代の、全く新しい「海外進出」に対する姿勢がこの作品の中の彼らの言動・表情・演奏からビシビシと伝わってくるのだ。
そしてそれがヨーロッパ・アジアの各国のファンたちと着実に共有されている。
ロックの新しい夢のあり方だ。

サウンド面においても、こうした活動面においても、
ONE OK ROCKのロックの夢には「日本と海外」という区別そのものがない。
Takaのキラキラした目は、「夢にはもともとそんな区別なんてないだろう?」
と言っているようだ。
山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
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