今週の一枚 andymori『andymori ラストライブ 2014.10.15 日本武道館』
2014.12.22 07:00
andymori
『andymori ラストライブ 2014.10.15 日本武道館』
2014年12月24日発売
まず突然の解散発表があった。その後、ラストツアーが発表された。
そして、小山田壮平の飛び降り・重症という事件があり、キャンセルとなった。
そして再び最後のツアーが組まれ、夏の野外フェス「SWEET LOVE SHOWER 2014」での解散が予定されていた。
だが、その最後のステージ上で「もう一度やりたい」と話したことから、今度こそほんとうに最後の武道館公演が決まった。
そのラスト・ライブを収めたのがこのDVDだ。
オープニングからエンディングまで、そのすべてが一切の演出なく収められている。
この日、武道館の席で遠くからステージの上の彼らを観ながら、気持ちがどんどん軽くなっていくのを僕は感じていた。
そして最後には、空っぽになった。
こんな「最後のライブ」は初めてだ。
やっぱりアンディモリだな、ありがとう、と思った。
何度も書いてきたことだけど、アンディモリの音楽の純度は異常だった。
初期はロックンロールとして、後半はフォーク・ミュージックとして、ほとんど到達点と言ってもいい純度に最初から到達していた。
この言葉をロックンロールに乗せればすべてがOKだろ、この言葉をフォーク・ソングにすれば全部が伝わるだろ、という言葉「だけ」でできている。
“ベンガルトラとウィスキー”、“FOLLOW ME”、“everything is my guitar”はそういうロックンロールであり、
“1984”、“グロリアス軽トラ”、“愛してやまない音楽を”はそういうフォークソングだ。
アンディモリは最初からアンディモリだった。
だからもう、ここから前に進むためには終わる以外なかったのだ。
だから、僕はこの最後の武道館公演を見ていてこれまでを振り返ることもなければ、
彼らの変化や成長を反芻することも全くなかった。
そりゃ人一倍いろんなことがあったバンドだ。
でもそれはアンディモリの音楽自体にはほぼ無関係で、バンドという生き物の営みの中に起きた出来事だった。
アンディモリの音楽はずっとピュアなままだった。
それを、最後に41曲分ちゃんと僕らに見せて聴かせてくれた。
アンディモリというバンドのために音楽があるのではなく、
音楽のためにアンディモリというバンドが存在していたんだということを、
明確に、潔く、オプティミスティックに見せて、聴かせてくれた。
だから僕らの気持ちはどんどん軽くなることができたし、音楽以外空っぽな気持ちになることができた。
アンディモリのことをトンデモなバンドと思っている人もいるんだろうけど、
そんなのはまったくの的外れだ。
この音楽を奏でるためだけにアンディモリは存在し、そして終わった。
その純度において、不純とその言い訳にまみれたロック・シーンに美しい奇跡を残した。
それだけは絶対に確かなことだ。
このDVDを観ればそれがわかるだろう。