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    今週の一枚 Skrillex & Diplo 『Skrillex and Diplo present Jack Ü』

    今週の一枚 Skrillex & Diplo 『Skrillex and Diplo present Jack Ü』

    Skrillex & Diplo
    『Skrillex and Diplo present Jack Ü』
    配信中

    これは上がる!

    先日、サプライズ・リリースされたJack Ü。EDM界の最強ユニットというキャッチコピーが付けられているが、スクリレックスとディプロによるプロジェクトということで、それを否定する人はいないだろう。そんなユニットの10曲入りEPが本作のわけだが、これがまた完璧というほど、アゲアゲなパーティー・アルバムなのである。昨年の大晦日にマディソン・スクエア・ガーデンのカウントダウン・イヴェントでヘッドライナーを務めたことを筆頭に、すでに世界各地のフェスやイヴェントのひっぱりダコになっているユニットだけに、このアゲアゲっぷりは当然と言えば当然なのだが、ふたりの経歴を考えると実はそれほど当然だったりしないのが面白い。というのも方や、スクリレックスとして世界でもっとも稼ぐDJの仲間入りを果たす前は、ソニー・ムーアとしてハードコア・バンド、フロム・ファースト・トゥ・ラストのフロントマンとして活躍。方や、ビヨンセ、マドンナ、ジャスティン・ビーバー、ブルーノ・マーズ、アッシャーといった豪華アーティストにコラボレーションを求められる売れっ子になる前は、そもそもはM.I.A.との仕事で台頭し、売れてからもメジャー・レイザーというオルタナ志向のプロジェクトをやっていたりするわけだ。EDMの頂点を極めつつも、しっかり地に足をつけた活動をしてきたふたりなので、ここは逆にアーティスティックに出てもおかしくなかったような気もする。特に昨年スクリレックスが出した『リセス』がそれこそ彼のロック的でアルバム・オリエンテッドな一面が垣間見られるれっきとした“作品”だっただけに。

     だからって、これがパッパラパーの消耗品かと言えば、むしろその真逆。現在の音楽シーンにおけるそれぞれのポジション、つまり世界を羽ばたく名トラックメイカー、名DJであることに対する自信とプライドが恐ろしいほど伝わってくるほど、ある意味、大真面目で硬派なアルバムなのである。フィーチャリングされているアーティストも、ジャスティン・ビーバーといった意外な大物から、アルーナジョージや新星のカイザなど、ふたりのセンスとバランス感覚が光りまくっているし、それこそラガからトラップ、もちろんダブステップなどふたりがこれまで傾倒してきたサウンドを堂々と踏襲しているところも勇ましくカッコいい。特にアルーナジョージの優雅なウィスパーヴォイスとスクリレックスのトレードマークのハードなドロップというミスマッチがあまりにも気持ちいい“To Ü”や、大先輩ミッシー・エリオットの奇天烈ラップが冴えまくる“Take Ü There (feat. Kiesza) [Missy Elliott Remix]”などの無敵っぷりはただただ圧倒的。うむ、上がります。(内田亮)
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