これが最後のメッセージなのか——ロジャー・ウォーターズ伝説の一夜を完全パック

これが最後のメッセージなのか——ロジャー・ウォーターズ伝説の一夜を完全パック

画質、音質ともにまったく生まれ変わって喜ばせてくれた『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』の興奮が醒めないうちにまたもビッグニュースだ。ロジャー・ウォーターズが22年から23年にかけて行ったワールドツアーから23年5月25日にチェコのプラハ、O2アリーナでのパフォーマンスの様子を収めた映像が『ディス・イズ・ノット・ア・ドリル:ライヴ・フロム・プラハ』のタイトルで8月1日にリリースされ、さらに世界中、そして日本でも7月23日から全国各地で劇場公開が決まり、しかも5.1chまたはドルビーアトモス上映がされるなどベストの条件が整った。

ロジャー自身が“フェアウェルツアー”と言っているように現在81歳という年齢を考えると、これだけの大スケールのツアーの実現はもうなかなか考えにくく、だからこそ<ディス・イズ・ノット・ア・ドリル=これは訓練ではない>とのタイトルには、世界各地でこの瞬間にも行われている戦闘状況や差別などの問題に対して、もう猶予はないんだとのロジャー自身の強い思いが盛り込まれている。

『ザ・ウォール』の“コンフォタブリー・ナム”に始まるライブは、『狂気』、『炎〜あなたがここにいてほしい』といったピンク・フロイドの名盤からの選曲はもちろんのこと、ロジャーのソロアルバム『死滅遊戯』からの“勇気ある撤退”なども含めたオールタイムナンバーでまとめられ、ファンが求めるものがすべて盛り込まれている。そしてステージはアリーナ中央にセットされ、360°全方向から体験できる巨大なLEDスクリーンが上部に置かれており、そこからは多彩な映像イメージやメッセージが送られ、ロジャーのライブではお馴染みの豚や羊のバルーンたちも空中を浮遊する、大掛かりな演出を凝らしたもの。非常に立体的なライブであるが、今回のパフォーマンス映像は長年一緒にやっているショーン・エヴァンス監督が8Kで撮影し、完璧にそのコンセプチュアルな意図を伝えてくれる。

パッケージは8月1日にリリースされるが、最注目は日本盤で、7インチシングル盤大の紙ジャケットに<2CD+BD>。BDには歌詞やスクリーンの日本語字幕付きとなっている。(大鷹俊一)



ロジャー・ウォーターズの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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