今週の一枚 チャーリーXCX 『SUCKER』

今週の一枚 チャーリーXCX 『SUCKER』

チャーリーXCX
SUCKER
2月18日発売

アイコナ・ポップの“アイ・ラヴ・イット”やイジー・アゼリアの“ファンシー”など共作/共演した楽曲の大ヒットを経てからのリリースとなる、チャーリーXCXの『サッカー』。そうやって他のアーティストの楽曲を通してポップ・メインストリームのど真ん中を経験したからなのか、自分の立ち位置をしっかり相対化できている力強い作品になっている。そして、そこでチャーリーXCXが到達した結論とはロック。本人も本作を作るにあたって、ラモーンズやウィーザーやハイヴズなど、ストレートでシンプルなロックを鳴らすアーティストにインスピレーションを求めたと語っているが、その影響が如実に出ているのが面白い。実際、ウィーザーのリバース・クオモをはじめ、アリエル・ピンクやヴァンパイア・ウィークエンドのロスタム・バトマングリなどが作曲に参加していて、それこそラモーンズが十八番としていた50sのドゥーアップ調の”Need Ur Love”から、尖がったポスト・パンクっぽい”London Queen”、さらにリバースが共作している、まさにザッツ・ウィーザーな“Hanging Around”など、ロック・テイストが満載である。個人的には、たとえばシングル”Break The Rules”のように、思わず拳を掲げたくなるようなジョーン・ジェット的なアンセム・ソングが多いのも嬉しい。ただ、それをレトロスペクティヴに焼直しているのではなく、あくまで現代のチャートに通用できるビート重視の強烈なポップ・ソングとしてプレゼンテーションできているのが彼女の才能の非凡さだろう。ホントに面白い存在である。
さらにチャーリーXCXはどうやらJ-POPの大ファンらしくて、今回、国内盤のリリースにあたって、すでに世界中で大ヒットしているシングル”Boom Clap”と”Break The Rules”を日本語で歌っているヴァージョンを収録。最近、J-POP好きを公言する海外のアーティストは少なくないが、それを実際にここまで体現する人は少ない。4月には初の単独来日を果たすし、今後、彼女の日本での活躍と人気も気にしていきたい。(内田亮)
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