2005年にメジャーデビューを果たすなり大きな支持を集め、これまでのアルバム(ベスト盤『Neo SOUND BEST』含め9作)をすべてオリコンチャートのベスト5圏内に送り込んできたUVERworld。であるにも関わらず、彼らは今も異様な熱量の思いに衝き動かされ、驚愕のロックナンバーを生み出し、まさに今が全盛期というライブパフォーマンスを繰り広げている。UVERworldが『ROCKIN’ ON JAPAN』のインタビューに初登場したのは2013年6月号。バンドのリリースがない時期だったにも関わらず、表紙巻頭を飾った。以来TAKUYA∞は一貫して、歯に衣着せず、雄弁に丁寧に、まるでステージ上のTAKUYA∞そのもののように言葉を残してきた。真っ直ぐに相手を見据え、思いを投げかけ、確かな理解を得ること。UVERworldの足跡は、そんなふうに表現が届く限界を決めつけず、ひたむきに進んできた道のりでもある。TAKUYA∞の10の発言をもとに、振り返ってみたい。(小池宏和)
①
ひっくり返したいっていう気持ち、俺たちの音楽をちゃんと聴いてくれっていう
対象がいなくなった時、俺の闘争心はなくなってしまうのかもしれない(『ROCKIN'ON JAPAN』2013年6月号より)
初インタビューでTAKUYA∞は、かつての10代の日々からUVERworldの歩み、ファンとの向き合い方やバンドの理想像など、さまざまな話をしている。初めてギターを手にした中学生時代の、必ずしも音楽活動を応援してくれるわけではなかった周囲の状況なども回想しつつ、UVERworldとまっすぐに向き合っていない人を振り向かせる音楽を鳴らしたい、という根源的な欲求と反骨精神が示されていた。
②
音楽の断食はできないんですよ。メロコアも大好きだし、スカも大好きだし、
パンクもJ-ROCKも、すべていいところがあるんですよね(『ROCKIN'ON JAPAN』2013年6月号より)
同じく初のインタビュー記事より。好きなお酒は年に3回だけ、と決めているTAKUYA∞が発した言葉だ。UVERworldの音楽は、ロックもパンクもメタルもフォークもヒップホップもジャズもエレクトロニカも貪欲に取り入れる。しかしそれは、多様性そのものが目的なのではなく、UVERworldの音楽の自由を証明するための手段であった。キャリアを経るごとに多様な音楽性が濃さを増し、そして洗練されてきたという点も重要だ。その姿勢は貪欲でありながら、同時にストイックなのである。
③
息吸って吐くことが「生きる」じゃない。
自分たちで何かをやろうとすること、
戦おうとすることが「生きる」だから(『ROCKIN'ON JAPAN』2013年10月号より)
シングル『Fight For Liberty/Wizard CLUB』リリース時のインタビューの中でのTAKUYA∞の発言。ステージ上での彼は、「俺たちのこと、羨ましいと思ってるんだろう?」という言葉も投げかけることがある。立場や役割の枠組みを越えて、それぞれの生活を送るひとりひとりに、生きることのモチベーションを問いかけているのだ。このときのインタビューの言葉も、実感として掴み取った生き甲斐がなければ発することのできない言葉である。
④
楽しいだけでやる音楽っていうのは、それはそれでいいと思うんです。
でも俺たちがやるべきことではない(『ROCKIN'ON JAPAN』2013年10月号より)
同じく『Fight For Liberty/Wizard CLUB』のインタビューから抜粋。ここで誤解して欲しくないのは、UVERworldが残してきた作品にも楽しい楽曲は数多く存在するし、すべての魅力をひっくるめて「楽しい」と捉えることも出来るという点。ただ、TAKUYA∞は歌に熱くひたむきなメッセージを込めることに目的意識を抱いており、メンバーと共に培ってきた反骨精神やストイシズムは、彼のメッセージを一層リアルに、またしなやかなものにしているのである。
⑤
中学を出て、家を出るんですよ。
スケボーとギターだけ持って。その瞬間、
みんなもう終わったと思ったと思いますよ、僕のこと(『ROCKIN'ON JAPAN』2014年8月号より)
『Ø CHOIR』のリリースタイミングには、TAKUYA∞のソロ3万字インタビューと、メンバー全員インタビューが2ヶ月続けて行われた。前者では、TAKUYA∞の生い立ちが語られている。家を出てさまざまな仕事を経験し、ライブでギターを弾いていた時期。希望に満ちていた一方で、真剣に未来と向き合うことには恐怖を感じていた。UVERworldの前身バンドを結成するのは19歳のときだが、ここには若きTAKUYA∞がひとりきりで下した決断と、自らに課した責任の重さが表れている。
⑥
今までUVERworldにノーしてる人たちとも出会って、
「UVERworld大嫌いやったけど、ライヴ観て好きになった」って言ってくれたら、
俺そいつと本気で握手できるんですよ(『ROCKIN'ON JAPAN』2014年8月号より)
TAKUYA∞の3万字インタビューは、人々から寄せられるようになった理解の大きさ、その喜びについての話題に及ぶ。「嫌い」が「好き」までダイナミックに転換するには、確固たる理解が必要なはずだ。例えば、2011年に滋賀B-FLATでファンクラブ会員限定開催された「KING’S PARADE」=男祭りは、2017年にさいたまスーパーアリーナの23000人にまで膨れ上がった。そんなふうに理解を得られるまで表現を研ぎ澄ませ、人々と真っ直ぐに向き合い続けるということ。UVERworldはその点で一切譲歩せず、そこで得られる理解にこそ意味を見出してきたのだ。
⑦
僕たちエレクトロでああいう電子音バシバシ入っても気持ちは誰よりもロックやと思ってる。
《Rock》は楽しみながら音楽を作っていくうえで出てきたフレーズですね(『ROCKIN'ON JAPAN』2015年10月号より)
2015年8月、ツアー中のUVERworldはROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015に初出演。今や語り草となっている圧倒的なパフォーマンスを繰り広げると、直後にシングル曲『I LOVE THE WORLD』をリリースした。UVERworldにとってエレクトロサウンドは当たり前のものではあったが、表題曲は同時代的なプログレッシヴハウスのグルーヴを大胆に導入し、そのオープニングでTAKUYA∞は《Rock!》と叫ぶ。余りにも獰猛な肯定性と説得力、侵食力をみせつけた瞬間だ。
⑧
どんなに音が悪くても、劣悪な環境のライヴハウスであろうと、
詞さえ聴こえればもう撃ち抜けるみたいな楽曲を目指してる(『ROCKIN'ON JAPAN』2016年9月号より)
『WE ARE GO/ALL ALONE』リリース時のメンバー全員インタビュー。とりわけ“ALL ALONE”については、メンバー個々の新鮮なトライアルが口々に語られている。大きな目標を掲げて並走する集団の中の、孤独な戦いという点でまさに“ALL ALONE”の体現だ。そしてTAKUYA∞も、心象風景にぴったりとフィットするサウンドをメンバーに求める一方、完璧なサウンドに寄り掛かることなく成立する歌詞の響きを追求している。個人として表現に向かう責任感の強さが明らかになった言葉。
⑨
思春期のダークサイドに
身を落として見てきたもやもやが今の僕を形成してる。
自然に自分のやりたいことを
やれる状況になったら、そこは出しておきたいなと(『ROCKIN'ON JAPAN』2017年3月号より)
『一滴の影響』リリース時のインタビューより。心の一面に確実にある闇、街の裏側に確実にある闇を見据えた上で、TAKUYA∞は触れる者を鼓舞し、ときには優しく励ます歌を届けてくる。先の3万字インタビュー発言でも語られていたように、十代中盤のうちに身ひとつでシビアな社会に飛び込んでいった彼の経験は、決して楽観的ではあり得ない視界の中で、タフなメッセージを鍛え続けているのだ。
⑩
なぜ曲を作るのかとか、誰のために作るのかとか、
余計なことを考えずにとりあえず、感じたものを出してってみて、あとから答え合わせする(『ROCKIN'ON JAPAN』2017年3月号より)
同じく『一滴の影響』のインタビューより。この表題曲で《あれは僕のせいにしな それも僕のせいにしてよ》《一番いけないことはさ 自分はダメだと思うこと》という歌詞をしたためたTAKUYA∞は、「あ、ひょっとしたらみんなよりちょっと強いのかもな」と彼自身を分析している。表現はポーズではなく、何か特定の目的を持つものでもなく、彼自身の内面そのものを描き、伝えるものなのだということ。他の誰とも替えの利かないオリジナリティを自身の中に見つけたTAKUYA∞は、今後きっと、より鋭く研ぎ澄まされたメッセージを発信してくれるはずだ。
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2017.05.16 21:00