【10リスト】THE BAWDIES、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】THE BAWDIES、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
極上のロックンロールを奏でながら、音楽シーンの中で燦然と輝き続けているTHE BAWDIES。偉大な先人たちへの敬意を抱きながら、自分たちだからこそ形にできるリアルな表現を常に追求している様は、本当にかっこいい。彼らの軌跡を語る上で欠かせない10曲を聴けば、圧倒的な魅力をじっくりと体感することができるはずだ。(田中大)


①I BEG YOU

2007年3月にリリースされた1stシングルの表題曲。THE BAWDIESの活動の核にあり続けている「古き良き音楽への敬愛」が、初期の曲である“I BEG YOU”にも全開で反映されている。ロックンロール黎明期の旨味を原料として醸造&熟成された美酒が、年月と国境を越えて日本に突然現れた――というような印象を音楽愛好家に与えたこの曲で存在感を示した後、彼らは着々と活躍の場を広げていく。
リスナーの大半にとっては1950年代、60年代辺りの音楽は生まれるより遥か前のカルチャーであり、もともと昔のミュージシャンの作品を熱心に聴いていたというような人は、そんなに多くないはずだ。それなのに、“I BEG YOU”も含めた彼らの曲が、フレッシュ極まりないものとして受け止められるようになったのはなぜなのか? 様々な理由があるとは思うが、音を奏で、歌い、曲を作っているメンバーたちの胸の内にある「こういう音って、かっこよくてワクワクするんだよ!」という実感が、100%リアルで混じりっ気がないからではないだろうか。THE BAWDIESの音にみなぎっている「憧れ」は、いつも「必然」でしっかりと裏打ちされている。だから説得力があるのだ。

②SHAKE YOUR HIPS

ロックンロールとは何なのか? 精神的、観念的、抽象的なことを言い始めたら議論が尽きず、はっきりとした結論を出すのも非常に難しい。しかし、おそらく言い切っても差し支えないのは、「その起点はダンスミュージックである」ということだ。「踊れる」ということに音楽の絶対的な価値があるということでは全くないし、ロックンロール以外の魅力的なダンスミュージックだって、世の中にはたくさん存在する。それでも極上のロックンロールだからこそ醸し出せる、あの「パーティー感」とでも言うべき瑞々しい熱気は、圧倒的に楽しい。その風味のかけがえのなさを、THE BAWDIESはよく知っている。彼らがライブを「パーティー」と称するのも、このバンドが捉えているロックンロールの本質が、そこにあるからだろう。“SHAKE YOUR HIPS”を聴くと湧き起こる「お尻をフリフリしたい!」という激しい気持ちは、パーティーの喜びへと繋がる素敵な衝動そのものだ。

③KEEP ON ROCKIN'

2009年4月にリリースされたメジャー1stアルバム『THIS IS MY STORY』のラストを飾っている“KEEP ON ROCKIN'”。軽快なビートが躍動するこのナンバーは、ライブで聴くと、とにかく楽しくて仕方ない。手拍子やコール&レスポンスをしながら盛り上がる喜びに満ちている様は、ファンたちが参加した撮影が行われ、2019年に公開されたMVからも伝わってくる。普段は極度の引っ込み思案で、カラオケで歌うことすら恥ずかしくて堪らないという人も、“KEEP ON ROCKIN'”を聴いたら、身も心も思いっきり解放したくなるだろう。誰よりも楽しそうに歌い、楽器の音を交し合うTHE BAWDIESのメンバーたちは、万人に向けて開かれた至福の空間を作り上げる達人だ。

④IT'S TOO LATE

2009年11月にシングルの表題曲として届けられて、翌年にリリースされたアルバム『THERE'S NO TURNING BACK』にも収録された“IT'S TOO LATE”。ドライヴ感に満ちたサウンドが、文句なしにかっこいい。演奏面で特に痺れさせられるのが、効果的に盛り込まれているエレキギターのボトルネック奏法だ。指に装着したボトルネックを弦の上でスライドさせて生み出す渋い音の響きが、ブルージーな男くさい色気を漂わせている。歌詞で描かれている心情の根底にあるのは「終わってしまった恋の悲しみ」であり、切ない内容ではあるのだが、カラッと乾いたバンドサウンドによって、力強さが醸し出されている。ライブ会場に集まった観客の胸の内にある無数の悲しみも前向きなものへと転じることができるこの曲は、今後も深く愛され続けるだろう。

⑤HOT DOG

2010年3月に届けられたシングルの表題曲で、翌月にリリースされたアルバム『THERE'S NO TURNING BACK』にも収録。“HOT DOG”がテーマとしているのは、とにかく「踊って楽しもうぜ!」ということに尽きるだろう。ビートを感じながらロックンロールに身を任せ、とことん盛り上がる喜びが全力で表現されている曲だ。ライブで演奏している時のメンバーたちも、いつも本当に良い表情を浮かべながら楽しんでいる。熱いサウンドが観客をどんどん巻き込んでいく様も、本当に凄まじい。「HOT DOG」とは、米俗語で「離れ業の持ち主」、「すごい」という意味らしいが、この曲が瞬時にライブ会場を圧倒的な幸福感で包む様は、まさしく離れ業だ。

⑥SAD SONG

人気が高い代表曲がたくさん収録されているアルバム『THERE'S NO TURNING BACK』の中で、独特な存在感を放っている“SAD SONG”。リスナーの心と身体を刺激して全力で踊らせるのが得意なTHE BAWDIESだが、実は美しいメロディを奏でる際の表現力も素晴らしい。古き良き音楽の息吹を若年層に伝えながら幅広いリスナーに支持されるようになっていった理由に関しては、彼らが届けてくれるメロディの豊かな質感も挙げられると思う。そして、そういう持ち味が、穏やかなトーンのサウンドで浮き彫りにされているのが“SAD SONG”だ。瑞々しいエレキギターのアルペジオに彩られながら、ほろ苦さもかすかに含んだメロディが広がっていく様が美しい。どうしても捨て去ることができない愛、募っていくばかりの寂しさを伝えるROY(Vo・B)の歌も、胸に深く沁みる。

⑦ROCK ME BABY

テレビドラマ『ハングリー!』主題歌となった“ROCK ME BABY”は、2012年2月にリリースされたシングルの表題曲。ブルージーなバンドサウンドに包まれながら響き渡るROYの歌声が、実に心地好い。程よく歪みつつも輪郭がはっきりとしている彼の声質のかけがえのなさも再確認させられる曲だ。ロックンロールの源流のひとつであるリズム&ブルースに対する敬愛にも満ちていて、ソウルやファンクの香りも漂わせるこのバンドの演奏は、ブラックミュージック的なフィーリングの塊だが、濃厚なサウンドの中で決して埋没されない華やかさをいつも放っているROYの歌が実に良い。お茶の間でも流れた“ROCK ME BABY”を聴いて、「このかっこいい歌、誰なの⁉」と痺れてしまった新規リスナーが、おそらくたくさんいただろう。2011年11月に行われた日本武道館公演後の初音源となったこの曲は、意義あるネクストステップとしても位置付けることができると思う。

⑧NO WAY

結成10周年、メジャーデビュー5周年というアニバーサリーイヤーだった2014年にリリースされたアルバム『Boys!』の1曲目“NO WAY”。テレビドラマ『玉川区役所 OF THE DEAD』のオープニングテーマだったので、聴いたことがある人も多いだろう。この曲の醍醐味を端的に語るならば、「ルーズなノリ」だと思う。デレっとしたニュアンスで演奏しているのに揺るぎなくて、ドラマチックなムードをばっちり醸し出しているこの感じは、人力演奏で勝負しているバンドの旨味の塊だ。
合奏というものは、杓子定規に「合わせる」ということを絶対視すると、非常につまらない印象のものになってしまう。良い意味で適当に、しかしアンサンブルを破綻させないというギリギリのラインを突くのが心地好いグルーヴを生む上で欠かせないところなのだが、これは息の合ったプレイヤー同士でないと、なかなか難しい。THE BAWDIESが10年間の活動の中で黄金のコンビネーションを確立していたことは、この曲がはっきりと証明している。

⑨KICKS!

2014年の夏フェスなどでも披露されていて、アルバム『Boys!』に収録される前からファンの間ですっかりお馴染みとなっていた“KICKS!”。ROYとTAXMAN(G・Vo)によるかけ合いのボーカルも冴え渡っているこの曲は、伝わってくる穏やかなムードにも注目させられる。THE BAWDIESは、激しく観客を昂らせるのも得意だが、リスナーの心を温かく震わせることにも長けているのだと、これを聴くと再認識できる。
力強いビートが躍動している“KICKS!”だが、響き渡るメロディは平和そのもの。何処か郷愁を誘う雰囲気なのが、実に彼ららしい。「盛り上がり過ぎて汗が滴ったのかと思ったら、幸福感のあまり涙腺がいつの間にか緩んでいた!」というような体験は、彼らのファンならば身に覚えがあるのでは? こういう現象は、彼らの音楽から度々顔を覗かせる穏やかな佇まいから生まれているのだろう。

⑩SKIPPIN' STONES

2019年11月にリリースされたアルバム『Section #11』に先駆けて配信でリリースされた“SKIPPIN' STONES”。印象的なギターリフが絶妙に活かされているこの曲は、THE BAWDIESのロックンロールバンドとしての貫禄を、目いっぱいに噛み締めさせてくれる。彼らが奏でる音にみなぎっているこの質感は、抽象的な言い方をするならば「生命の鼓動と完全にシンクロしている」というような感じだろうか。人間の歌や人力演奏に隠しようもなく反映されてしまう心のときめきを、彼らはいつでも素直に伝えてくれる。発達したテクノロジーによって、人間が演奏しなくても音楽をダイナミックに鳴り響かせられる時代となっても、ギター、ベース、ドラムを基調としたロックンロールが廃れていない理由は、彼らが届けてくれる血の通った音を聴けばよくわかる。“SKIPPIN' STONES”も、そういうTHE BAWDIESならではの瑞々しい刺激を渦巻かせている曲だ。
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