【10リスト】サカナクション、音楽と映像の新たなケミストリーが生まれた傑作MV10

【10リスト】サカナクション、音楽と映像の新たなケミストリーが生まれた傑作MV10
ベスト盤『魚図鑑』がオリコン週間チャートで初登場1位を飾ったサカナクション。今回は彼らの歴代ミュージックビデオの中から、優れた10作品を選んでみた。サカナクション作品のMVは、内省的な歌詞の文学的表現や高度なダンスロックの肉体性を視覚的に解釈した上で、ユーモラスに、ときにはシュールに映像化することが多い。MVによってエモーショナルな楽曲に笑いの付加価値がもたらされたり、或いはただ音源に触れるよりも深く考えさせられたりすることだってある。シングルよりも先にMVに注力してきたキャリアを、振り返ってみてほしい。

※2019年7月12日更新

①ナイトフィッシングイズグッド


繊細な詩情の動きが音楽の驚異的展開とともに描かれ、今日までライブのクライマックスを担う機会の多い楽曲。


②ネイティブダンサー


季節の移ろいの中、儚く煌めく一瞬の記憶を刻み付けるようなダンス。感情と肉体のシンクロを描いたMVだ。


③アルクアラウンド


ロックのビートが心拍なら、ハウス/テクノ由来のビートは歩行のリズムか。歌詞を用いた視覚効果も見事。


④『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』


タイトルと山口一郎の人形ダンスはインパクト絶大。ドキリとするハーモニーや後半の幻惑的な音像にも注目。


⑤僕と花


ドラマ主題歌として記憶している人も多いはずの6thシングルだが、臨場感溢れる演劇仕立てのMVも面白い。


⑥夜の踊り子


富士山と日本舞踊をフィーチャーしながら、傾奇者然としたメンバーの姿は真にロック。大胆な伝統解釈が光る。


⑦ユリイカ


滑らかな肢体と都市の風景が交錯する映像とともに、歌詞では記憶と現実がせめぎあい、想像力を掻き立てる。


⑧蓮の花


《あの小さい蜘蛛/君みたいだった》という歌詞フレーズからの発想の暴走に驚く、風流&ファンキーな逸品。


⑨新宝島


レーベル設立、リスナーとの約束、さらに愉快なTV歌謡ショーまで盛り込み、ポップを牽引する姿が頼もしい。


⑩忘れられないの


80年代シティポップのビジュアルイメージを用い、情緒豊かな楽曲を批評のアートへと昇華させたユーモラスなMV。



これまでにも、ミュージックビデオ集や特典映像などでMVをパッケージ化してきたサカナクションだが、彼らの活動時期は各種動画サービスの普及時期と重なっている。今日の、スマホでMVを観るライフスタイルの確立と共に歩んできたと言えるだろう。山口自らMVの監督を務めた“ホーリーダンス”然り、ライブ体験や公式ホームページに至るまで、常にテクノロジーと向き合いながら斬新な表現を形にしてきた彼らにとって、「音楽的に高度な楽曲を生み出しながら、MVも重要なコミュニケーションツールとして扱う」ことは至極当然だったのかも知れない。(小池宏和)

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