※2019年7月12日更新
①ナイトフィッシングイズグッド
繊細な詩情の動きが音楽の驚異的展開とともに描かれ、今日までライブのクライマックスを担う機会の多い楽曲。
②ネイティブダンサー
季節の移ろいの中、儚く煌めく一瞬の記憶を刻み付けるようなダンス。感情と肉体のシンクロを描いたMVだ。
③アルクアラウンド
ロックのビートが心拍なら、ハウス/テクノ由来のビートは歩行のリズムか。歌詞を用いた視覚効果も見事。
④『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
タイトルと山口一郎の人形ダンスはインパクト絶大。ドキリとするハーモニーや後半の幻惑的な音像にも注目。
⑤僕と花
ドラマ主題歌として記憶している人も多いはずの6thシングルだが、臨場感溢れる演劇仕立てのMVも面白い。
⑥夜の踊り子
富士山と日本舞踊をフィーチャーしながら、傾奇者然としたメンバーの姿は真にロック。大胆な伝統解釈が光る。
⑦ユリイカ
滑らかな肢体と都市の風景が交錯する映像とともに、歌詞では記憶と現実がせめぎあい、想像力を掻き立てる。
⑧蓮の花
《あの小さい蜘蛛/君みたいだった》という歌詞フレーズからの発想の暴走に驚く、風流&ファンキーな逸品。
⑨新宝島
レーベル設立、リスナーとの約束、さらに愉快なTV歌謡ショーまで盛り込み、ポップを牽引する姿が頼もしい。
⑩忘れられないの
80年代シティポップのビジュアルイメージを用い、情緒豊かな楽曲を批評のアートへと昇華させたユーモラスなMV。
これまでにも、ミュージックビデオ集や特典映像などでMVをパッケージ化してきたサカナクションだが、彼らの活動時期は各種動画サービスの普及時期と重なっている。今日の、スマホでMVを観るライフスタイルの確立と共に歩んできたと言えるだろう。山口自らMVの監督を務めた“ホーリーダンス”然り、ライブ体験や公式ホームページに至るまで、常にテクノロジーと向き合いながら斬新な表現を形にしてきた彼らにとって、「音楽的に高度な楽曲を生み出しながら、MVも重要なコミュニケーションツールとして扱う」ことは至極当然だったのかも知れない。(小池宏和)
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