【10リスト】Dragon Ash、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】Dragon Ash、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
オルタナ/パンク/ヒップホップ/ハードコア/ラテンなど、その20年以上の足跡の中で幅広い音楽性を体現しながら、日本の音楽シーンにおける不屈のロックアイコンとして惜しみないリスペクトを集めているDragon Ash。多彩な要素を血肉化したミクスチャーロックを己のアイデンティティとして掲げ続ける彼らの表現はそのまま、混沌とした時代に向き合い抗いながら、その時代を生きるキッズと熱い共闘関係を結んできた誠実なバンドヒストリーとして結実している。1997年のデビューからの歩みを、10のマスターピースを通して改めて振り返ってみる。(高橋智樹)


①The Day dragged on

《ある朝並木道を歩いている傷はもう癒えたんですか/すぐそばまで行きたくて花を摘みに走りました》……1997年だけでシングル1枚+ミニアルバム2枚+フルアルバム1枚発表、というデビュー当時の10代のKj(Vo・G)のイノセンスと焦燥感が、まだ3ピース編成だったバンドのソリッドな音像と渾然一体となって心に焼き付く一曲。《悪いのは僕だけとずっと思ってた/次の日の朝がきて僕は空をにらみつける》というラストのフレーズは今なお、いや今こそロックの蒼き衝動そのものの熾烈な輝きに満ちて胸に迫る。

②陽はまたのぼりくりかえす

アコースティックギターのアルペジオとサンプリング、スクラッチとディストーション、ヒップホップとオルタナティブロック――。さまざまな境界線を越境する無垢な冒険心がそのまま、どこまでもリアルなストリートミュージックとして鳴り渡り、Dragon Ashの名前を活動初期に時代に深々と刻むこととなった。《生き急ぐとしてもかまわない 飛べるのに飛ばないよりはいい》……この曲がリリースされた時点でKjはまだ19歳。シーンの最先端に躍り出た若き才気はやがて、時代と真っ向から響き合うこととなる。

③Viva la revolution

音楽シーンにおけるロックの地図を革命的なまでに塗り替えてみせたDragon Ash。その1999年当時のこの上なく鮮明なドキュメントであると同時に、「終わりなき己の改革」をバンド自身に永遠に突きつけ続ける至上のアンセムでもある。《そう あの頃なら遠く見えた鳥の場所へ届きそうで/今は体流れるこの気高く赤い血を燃やして》……ダブルミリオンを記録した名盤3rdフルアルバム『Viva La Revolution』の中でも「バンドの揺るぎない理想」と「オーディエンスとの連帯感」を克明に物語る一曲として、今日でも深く強く愛され続けている。

④Deep Impact feat. Rappagariya

Dragon Ashが体現していた「連帯感」はファンのみならず、同じ時代を共闘しサバイブするバンド仲間にも強く向けられていたし、それは数々の楽曲に登場するフィーチャリングゲストという形にも表れていた。ラッパ我リヤを迎えて《日本を変える真の音楽と お前の鼓膜直接Contact/心に響く凄まじい爆発音 いよいよ壁は無くなるぞ》と痛快なアジテーションを突き上げるこの楽曲は、シーンの枠組みや制約を一つひとつ無効化し「その先」へと邁進するDragon Ashの加速度の証そのものだ。

⑤百合の咲く場所で

《時の流れは激しくて 涙こぼれてしまいそうで/外は月明かりが切なすぎて ここで歌っている/この場所で 百合の花咲くこの場所で歌ってる》……Dragon Ashという音楽から立ち昇る「身も心も焦がすような熱量」と「時代を切り開く者の決死の矜持」が、静と動/冷徹と激情のコントラストを生み出しながら、凄絶な風景を編み上げる。4thアルバム『LILY OF DA VALLEY』の中でも鮮烈な存在感を放つこの曲のイントロがライブで流れると、今でもフロアの空気が凛とした緊迫感に支配され、観る者の感情をあらゆる制約から解き放つ。

⑥Fantasista

「ミクスチャーロックは好きですか!」のKjのコールとともに、ライブでもフェスでも狂おしいほどの魂の上昇気流を描き出す、Dragon Ash史上屈指の激烈ミクスチャーアンセム。翌2003年には新たにギタリスト=HIROKI、ダンサー陣=ATSUSHI&DRI-Vが加入。Dragon Ashの楽曲とアンサンブルが持つ爆発的なまでのエモーションの奔流が、格段にグラマラスで開放的なステージパフォーマンスとして可視化されていく――という珠玉の化学変化を、何より明快に象徴する一曲でもある。

⑦運命共同体

やわらかなスティールパンの音色、トロピカルな躍動感に満ちたリズムなど複層的に織り重ねられたサウンドが《People unite! さあ夢のshow timeへ/我ら運命共同体/時には挫折寸前の状態で 漕ぐんだ船を航海へ》というラインと共鳴し合いながら、触れる者すべてを雄大な運命の輪へと巻き込んでいく。デビュー10年以上の道程を経て、闘争心よりも連帯感で時代丸ごと抱きしめるようなDragon Ashの在り方が、“Velvet Touch”、“繋がりSUNSET”といった楽曲とともにアルバム『FREEDOM』の雄大な開放感を形作っている。

⑧AMBITIOUS

“Fantasista”と同じくサッカー番組のテーマソングとして提供された楽曲であり、闘争心と祝祭感が手を取り合って踊り回るような高揚感は“Fantasista”にも通じるものだ。が、“Fantasista”の原動力が「限界を超える者の狂騒感」だとすれば、この“AMBITIOUS”に息づいているものは「苦闘への祝福」の想いだ。《闇雲に抱いてた未来を この瞬間今に塗り替えろ/さらけだし 鮮やかでなし 痣だらけで描いてこそ価値》というフレーズは、道なき道を己のクリエイティビティで切り開いてきたDragon Ashならではのものだ。

⑨Walk with Dreams

Dragon Ashのデビューから15年を数える2012年に訪れたのは、バンドのオリジナルメンバーにして精神的支柱でもあったIKÜZÖNEの急逝という衝撃だった。結果的にIKÜZÖNEのラストレコーディングとなってしまったこの曲でしかし、《限られた時の中で 夢中に知らぬ間に年を重ね/精一杯向こう見ずに let's walk with dreams》とKjが歌い上げるまっすぐな言葉は、長いキャリアを経てもなお変わることなく奮い立つロックの純度と輝度を、ひときわ決然と指し示すものだ。

⑩光りの街

《やり方も知らず 子供に生まれて/望む事はそう 喜びだけで/有り余るこの 痛みの先へ/幸へ走れ 光りの街で/明日を望む》――東日本大震災後、Dragon Ashがグッズ(被災地支援のステッカー&ピンバッジ)収益の全額寄付を行った石巻市内の児童公園「スマイルパーク」で屈託なく遊ぶ子供たちの笑顔が、バンドの硬質かつ強靭なダイナミズムと「生命を慈しむ」という世界観を融合させ、彼ら自身を新たな表現のステージへと導くに至った。そんなDragon Ashのモードは、“Ode to Joy”や“A Hundred Emotions”などとともにアルバム『MAJESTIC』へと結晶していくことになる。
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