【10リスト】め組、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】め組、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
いつしか組員と呼称されるようになったファンとの共犯関係を結ぶように、熱くロマンチックな絆を築いてきため組。菅原達也(Vo・G)が紡ぎ辣腕メンバーたちと奏でる、ときにシュールでときにエモーショナルな楽曲の数々は、多くの人の人生に泣き笑いと熱狂の花を咲かせてきたはずだ。本稿では、そんなめ組のキャリアを彩ってきた10の名曲を厳選して紹介したい。なお、バンド結成から10周年の節目となる2025年にはベストアルバム『SUPER ME-GUMI COLLECTION』を発表、本稿で紹介する10曲はすべてそちらに収録されているので、これまでの共犯者であるあなたも、これからの共犯者であるあなたも、ぜひチェックしてほしい。(小池宏和)


①500マイルメートル

2016年2月、め組の記念すべき両A面デビュー・シングル『500マイルメートル/マイ・パルプフィクション』(タワーレコード限定)としてリリースされ、後にアルバム『恵』にも収録された楽曲。ミュージカル『雨に唄えば』とサザンオールスターズ“世界の屋根を撃つ雨のリズム”を見渡すような視界の中で《君》との距離を推し測り、奇天烈なポップセンスと途方も無いロマンチックさでめ組というバンドの登場を伝えてくれた。ライブ時にも大合唱で盛り上がるコーラス部分は、実は歌詞に綴られていない。

②悪魔の証明

呪文のように脳裏にこびりついて離れない合言葉《ちゅるりらら》で最高のライブレパートリーと化し、悪魔のタンバリンというグッズまで生み出してしまった罪深い1曲が“悪魔の証明”だ。破天荒なようでいてその半面、《好きな歌を唄う時くらい/悪魔の気分でいたい》という切実な思いを運ぶ曲でもある。オリジナルバージョンは1stアルバム『恵』収録。ベストアルバム『SUPER ME-GUMI COLLECTION』では“悪魔の証明 2.0”を新録し、新規ミュージックビデオも制作された。

③お化けだぞっておどかして

くるくると曲芸のようにリズムをスイッチングしつつ、それでも難解な印象をもたらすことなくエモーショナルなラブストーリーを伝える“お化けだぞっておどかして”は、2017年にデジタルシングルとして発表、アルバム『僕だってちゃんとしたかった人達へ』にも収録された。多彩な音楽を食い散らかし、それを卓越したソングライティングと演奏技術でポップに纏め上げてしまうめ組というバンドの底知れなさを教えてくれる1曲だ。

④ぼくらの匙加減

大切な《あなた》と向き合っているときほど、《あなた》を知りたいと思うほど、我々は余計な振る舞いや一言で《あなた》を探ってしまう。“ぼくらの匙加減”はアルバム『僕だってちゃんとしたかった人達へ』収録曲だが根強い人気を誇っており、『SUPER ME-GUMI COLLECTION』制作に当たっての楽曲投票においても見事1位に輝いた。誰もがその胸の中に、厄介な業と切ない記憶の塊のような菅原達也を棲まわせていると言っても過言ではないだろう。

⑤Amenity

《あなたの心の真ん中 盗みにきたぜ》《喉の奥の奥 かき集めて出来た言葉は/アイラブユー》《伝えたいこと/わざと逆さまにして 零しちゃうような/心、可愛くない人でいてね》といったふうに、必殺のメッセージを連発する凄まじいソングライティングとともに勢いよく転げ回る“Amenity”。そのタイトル通り、ミニアルバム『Amenity Wear』の重要なテーマを担う1曲として収録された。熱心な組員との濃密な対話が感じられる楽曲だ。

⑥YOLO

「You Only Live Once」(人生は一度きり/後悔しないように生きよう)というメッセージの頭字語をタイトルに据えた“YOLO”は、2020年、世界中がコロナ禍の猛威にさらされている中にデジタルシングルとして届けられた。21世紀型シティソウルを思わせる、端正で力強いソングライティングとアレンジも相まって、《無理しないようにしようぜ》《笑っちゃうくらい泣きじゃらして/次の幸せに備えましょう》と優しく呼びかける歌詞が、疲弊した心をいつでも潤してくれる。

⑦咲きたい

世間から次々と降りかかる不条理に苛立ち、冴えない日々に心を曇らせながらも、まさに反骨精神を燃やすように痛快なポップさで視界を切り拓いてくれるロックチューン“咲きたい”。ここには必然の熱狂がある。2023年に伊勢丹新宿店 新宿出店90周年企画「新宿90スナップ」のコラボソングとして発表され、ミュージックビデオは組員のエキストラとともに伊勢丹新宿店屋上で撮影、お笑いコンビ・ランジャタイのふたりも出演するという賑やかさであった。

⑧お茶の子再々!

ミニアルバム『七変化』制作時には、ボーカロイドを利用したDAW工程を取り入れることで新境地を開拓。《さあ/間違っても悪あがこうぜ/ださい未来にしないでね》と呼びかける“お茶の子再々!”は極めて爽快でアップリフティングなナンバーだが、一方で音楽的にはアクロバティックな転調が随所に仕掛けられ、スリリングな展開で楽しませてくれる。ライブにおいても瞬く間に高揚感の一幕を担う即戦力となった1曲だ。

⑨さたやみ

こちらもミニアルバム『七変化』収録の“さたやみ”は、骨太なロックサウンドとともに届けられた珠玉のスタンダード。捻くれたマインドや遊び心をふんだんに作詞作曲へと落とし込み続けてきた菅原達也が、遂に獲得した率直さという意味でも感動的だ。ストレートなグッドメロディではあるものの、詩的な歌詞は奥ゆかしく重厚。かつて抱いた夢や希望、美しい記憶を情け容赦なく飲み込んでゆく現実の荒波に思い悩み、人生を通じて何度でも問いかけてくるような1曲である。

➉AIのうた

ベストアルバム『SUPER ME-GUMI COLLECTION』の厳選された全18曲の中で見劣りするどころか、堂々最終トラックを担うべく配置されたのが、初出曲となる“AIのうた”であった。自動生成AIが生み出す音楽の時代に脅かされるバンドマンの思いをしたためながら、しかし頭ごなしにAIを否定するのではなく《もしかして愛、知ってる?》と問いかけ、未来に向けてAIとの付き合い方を探るような歌詞が美しい。め組はいつだってあなたとも、AIとも真剣に向き合い、対話するのだ。


この10リストのうち6曲について、め組・菅原達也(Vo・G)がたっぷり語ったインタビューはこちら
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