以前、まだ『チ。』の連載がスタートして間もない頃に、姉妹誌『CUT』で作者の魚豊氏にインタビューさせてもらったことがある。そのとき彼はこんなことを言っていた。
「死ぬらしいけどこれがあるから生まれてきてよかったなって思えるものを探す冒険だと思うんですよ、人生って。『チ。』はその冒険に挑む人たちの話なんだと思います。否定したくないんですよ、そういうすさまじい人生を。あの人は芸術に追い詰められて死んだから敗者だとか思いたくない」
そんな強い思いとともに描かれた『チ。』という作品が人々に受け入れられたのは必然だったと思う。キャラクターたちの眼に宿る意志のようなものは、それを見て読む僕らにとってまったく他人事ではない。そしてそれはきっと、山口一郎にとってもそうだったのだと思う。(以下、本誌記事に続く)
文=小川智宏
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年5月号より抜粋)
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