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各々の楽器のフレーズに、またそれが交わり生まれる化学反応、愚直なまでに真摯に向き合った胸のすくバンドサウンドである。軽快に跳ねるビートとギターの小気味よいカッティングによって直線的に熱を上げていくグルーヴの中、丁寧さと熱さをなんの矛盾もなく同居させる歌唱により歌われるのは、《騙し絵みたいな今日に/足りていないのは愛だよ》と、《ねえ 強く優しくなりたい 強く優しくなりたい》と不安や弱さを立脚点に奮い立ちながら、《希望になり得るのも/愛を伴う情だって信じたい/信じる以外に希望はない》と断ずる覚悟である。腹の内まで曝け出し、なおかつ格好をつけられるからこそ、むしろそうでなければ宿らないかっこ良さが、今の彼らからは噴き出している。また、ライブの現場にて現在進行形で数多の先達とも後進とも交わり続けているバンドゆえに、《継なぎたいのは心意気だ》というリリックに重い意味が宿る。強い気持ちでバトンを受け継ぎ、繋ぐ。こうしてロックの大河は長く太く、美しくなっていくのだ。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年7月号より)
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