①バンドマンと金髪女
よく言う「タイトなバンドサウンド」ってこういうことだよねっていうくらい、出だしから歯切れのよいアンサンブルが炸裂する様子に思わずニヤリ。結成から1年足らずで発表された曲ということもあって、青々しくエネルギッシュな衝動と疾走感を感じさせるのだが、ひとたび小柴が歌い出すと空気は一変する。ぶっきらぼうで錆びたニュアンスを帯びた歌声で吐き捨てるように歌うのは、まだスターダムとは無縁の場所にいるバンドマンのリアルと心中で滾らせた闘志。《不満は名曲の種に変えろ》《生きてる証や理由全て/たかが六本の弦に込めろ》などなど、パンチライン連発の曲でもある。②優しさを失くした
何度も登場する《曇り某日》というワードは耳慣れないものでアブストラクトだがしかし、「ぼ」に強めのアクセントを置いた歌唱法も相まって鮮烈な印象を残す。力強い8ビートとゴリッとしたベースが導く重心低めの音といい、ささくれ立った印象とは裏腹に実はキャッチーなメロディといい「かつては王道だったはずが最近はお目にかかれなくなってきたタイプのロック」を鳴らすバンドとして、Cloudyが世間に見つかったタイミングはここだったように思う。内省的に推移していくリリックがラストの《ただ喝采を僕等の日々に送れるように》というラインへ繋がるカタルシスは絶品。③命を燃やしている
冒頭からとにかくアップテンポで突っ切っていくパンキッシュなナンバー。もう“命を燃やしている”というタイトルからしてそうだし、その後も《本気を超えた真剣にこそ/滾る命が宿る》《目先の利益の為に信念を曲げてしまったら/もう死んだも同然なのさ/呼吸が止まる以上の死だ》といった歌詞の隅々にまで、Cloudyというバンドのアティチュードが、そしてロックバンドとして板の上に立つ者の矜持ってものが、これでもかと詰め込まれている。聴き手にこう感じてほしい、こう作用してほしいという考え方も確かに大事だ。でも本来はそれ以前にあって然るべき「俺はどうしたいのか」を痛快に叩きつけてくれる。④無責任な肯定を
前述した「RO JACK」優勝特典リリース曲。ネット上やら何やらにフェイクの氾濫する時代だから、何かを発言しようにもちゃんとした知識やエビデンスが求められる。それは確かに大事なことではある。けれど、時には真偽なんてどうでもよくなるくらいの圧倒的なパワーに身体と魂を委ねたくなることだってある。そしてロックという音楽はそういう役割を担えるものだ。だって、ライブ中に何の脈絡もなく「行こうぜ!!」と言われて何故だか血湧き肉躍ってしまうこと、あるじゃないか。そんなある意味では「無責任な」肯定の在り方をそのものズバリの捉え方で、どストレートな音に乗せている。⑤捧ぐ
2026年に入ってからの3ヶ月連続シングルリリースを締めくくる楽曲。テンションを抑え気味なBメロのややメランコリックな展開や哀愁を感じさせるメロディラインなど、要所に柔らかさを交えることで持ち前の剛性──骨っぽく硬質な歌とサウンドの威力が際立たせているという点で、サウンド面の新境地を感じさせる。一方、《一瞬》と《永遠》の対比が印象的なリリックは、自分たちが何のためにバンドとして存在し、「君」に何を“捧ぐ”のかという、ある意味ずっと歌い続けている信念の部分を今一度知らしめる内容。彼らとの出会いによって《憂鬱》が《勇気》へと変わるリスナーが、これからもっともっと増えていくことを予感させる曲である。『ROCKIN'ON JAPAN』2026年6月号にCloudyが登場!
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