開演時間を少し過ぎ、大海原を思わせるブルーのレーザー光がアリーナを彩ると、やがてオレンジ色の光が会場を満たし、ステージ中央からあいみょんが登場。“どうせ死ぬなら”をいきなりアカペラで歌い出すと、悲鳴にも似た歓声が起こる。2015年、インディーズ時代の楽曲でありながら、あいみょんの生き様をこれほど痛快に表現する楽曲もないだろう。そしてアグレッシブなバンドサウンドが豊かに鳴り響く。Kアリーナの音響の良さも後押しして、初っ端から最高のアンサンブルを響かせていく。続く“ラッキーカラー”では、あいみょんは軽やかな足取りでアリーナ中央に延びる花道の最前にまで移動して、指眼鏡を作って、スタンドのレベル7の後方まで、一人ひとりの顔を覗き込むような仕草で歌を届けていく。この場にいる誰もが、この日のライブに招待された友達のような気分になる。冒頭の2曲ですべての人を自然に「ドルフィン・アパートの入居者」にしてしまうあいみょんのライブ力のなせる業か。その後の“会いに行くのに”の歌声も格別。(以下、本誌記事に続く)
文=杉浦美恵 撮影=永峰拓也
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年7月号より抜粋)
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