そもそも音楽専門誌というのはネタバレがあって当たり前であって、むしろ全編にわたってネタバレ満載と言っていい。まだリリースもされていない音源についての話とか、まだ観ていない人たちもいるのにツアーの話とかを平気で書いたり語ったりする世界である。それを承知でわざわざお金を出して専門誌を買い求めて(ありがとうございます)わくわくして読むという人は、多少の事前情報が入ってこようが前評判を聞かされようが「でも自分が聴けば(観れば)ちゃんと自分なりの感じ方ができる。多少のネタバレぐらい準備運動みたいなものだ」というリスナー魂を持っている人なわけだ。ずーっと朧気に自分の中にあった死生観や神とか、命とか血とか、そういう自分のテーマがぶわぁっ!って揃ったんですよ。「あ、これかあ!」って。「あ、俺、本編これじゃん!」って思ったんです。
今まであくまでも予告編だけだったんだな、って
なのだが、さすがに僕はこのTHE YELLOW MONKEYのニューアルバム『Sparkle X』についてここで明確に書くことを躊躇してしまっている。なぜか? それは、このアルバムがあまりにも明確な、はっきりとした意味とメッセージを持つアルバムだからだ。これまでイエモンは本当に多様なアルバムを作ってきたが、ここまで突き抜けるような明快な意味とメッセージを掲げたアルバムはなかった。だからこそ、その意味とメッセージとは何かをここに書くことをためらってしまう。逆に言えば、書かなくてもアルバムを聴けば絶対にそれは全員に伝わる、という安心感がある。イエモンのアルバムにそんな安心感を感じたのは初めてだ。
この『Sparkle X』はとても「健康な」アルバムだ。それだけは言ってしまってもいいと思う。でもそれだけでも十分、ファンは驚くのではないか。なぜならこれまでイエモンが「健康な」アルバムを作ったことなど一度もないからだ。
なぜそういうアルバムが生まれたのか。結局はこのインタビューでそれをメンバーはとても正直に語ってくれた。読んでからアルバムを聴いても、聴いてから読んだとしてもこのアルバムの素晴らしさは変わらないと思う。それほどの絶対性と普遍性を湛えているのが『Sparkle X』だ。
もうひとつだけ言っておく。このアルバムは絶対にTHE YELLOW MONKEYにしか作り得ないロックンロールアルバムだ。
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=横山マサト
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年6月号より抜粋)
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