「LIVE SPARKS!」では、今注目すべき新進気鋭のアーティストのライブレポートをお届けします!
ファーストワンマンは、アーティストにとって一夜限りの大切なものだ。特に、新たな門出であるならなおさらである。一歩踏み出した期待と不安、そして未来への希望と野心──Ku:uiのファーストワンマンライブには、そのすべての感情が初期衝動としてきらめいていた。
Ku:uiは、2019年から2025年まで活動していたバンド・シズクノメの西野駿壱(Vo)が始動させたソロプロジェクト。バンドのラストライブの5日後にデビュー曲“クズボシ”を発表したことからも、歌うことを辞めないという強い意思が伝わってくる。Ku:uiの「u:u」は「You to You」を意味し、あなたと1対1で音楽をしたいという気持ちが込められているという。その言葉を冠したファーストワンマンが、ついに幕を開けた。オープニングナンバーは、1月に発表した最新曲“壊楽”。低く艶やかに響く歌声の訴求力は、ブランクを感じないどころかより研ぎ澄まされているように思う。
深く被ったキャップの奥で目を光らせ、《人はどうしてすぐ裏切るの?》《誰を信じればいいの?》とシニカルなメッセージを放つ姿に目を奪われた。その後、セットリストのメインになるのは音源未発表の楽曲たち。アッパーなサウンドで一気に一体感を押し上げた“雨にも負けず”や、軽やかなピアノの音色が印象的なラブソング“emma”、一転してムーディなギターが切ない“チューニング・ラブ”など、1曲ごとに歌の色味が変わっていく。イベントや企画ライブのみで披露してきた楽曲が多く、不安もあったかもしれないが、盛り上がるオーディエンスの熱量に煽られ、緊張感は完全にほぐれた様子。やわらかな表情が増えるとともに、歌だけでなく全身を使った多彩な表現力がどんどん開花していった。
中盤には、サポートギタリストとふたりのアコースティックスタイルでデモ曲を披露するシーンも。生まれたばかりの無垢なメロディに浸る中、今後のKu:uiにとって重要な存在になりそうな1曲があった。タイトルは“BOKU BUG”。曲に入る前、彼はこう語った。「夢を見てた頃は笑えてたはずなんだけど、たくさん失敗もしてきて。でも、ある時『失敗は美しい』という言葉を知って、それなら壊れたままでもいいのかな、って思えた瞬間があったんです。そんなひねくれものが書いた、ポップな失望ソングです」。
言葉どおり、キャッチーなメロディに乗せて《このまま 壊れていようか》と繊細な反骨心が覗く。痛いほど切実で、かつ優しく寄り添ってくれる歌声の力も強い。ポップなアレンジが加わればきっとさらに多くの人の心を動かすだろう。一度傷ついて立ち止まり、再出発した彼だからこそ届けられるひねくれたポップスが、Ku:uiの強みになっていく予感がした。
全員でタオルを回して歌った“クズボシ”など、勢いを増し続けてエンディングへ。「あなたとなら、これからもっと素敵な景色を一緒に見に行けると確信しました」と笑顔で語り、ラストに「また会うための約束のナンバー」と“sleep?¿”を贈った。今夜生まれたたくさんの可能性と夢、そして新曲たちの種を芽吹かせて、この先どんな歌を聴かせてくれるのか。Ku:uiの物語は、まだ始まったばかりだ。(後藤寛子)
このライブレポートは、5月29日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』7月号にも掲載!
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Ku:ui First Oneman Live「u:u」
2026.4.19 Veats Shibuya
●セットリスト01. 壊楽
02. SCANDAL
03. ⾬にも負けず
04. emma
05. チューニング・ラブ
06. モノクローム
07. ⼀⽅通⾏ -Acoustic-
08. BOKU BUG -Acoustic-
09. 蝉時⾬
10. かぐや
11. 鵲の⽰す橋の下で
12. 夜鷹のこゝろ
13. 天使のL/O
14. クズボシ
15. sleep?¿
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提供:PowerPlay Music
企画制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部