【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻

【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻 - All photos by タカギタツヒトAll photos by タカギタツヒト
最新アルバム『円』を引っ提げての全国ツアー、そのファイナルが3月28日、渋谷WWW Xにて行われた。このツアーは各地でゲストを迎えてのツーマンで、この日はひとひらが敬愛するcinema staffとの対バン。cinema staffが深く心をブチ抜く音像で会場を魅了したあと、ひとひらは登場した。

【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻
【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻

響き始めるギターアルペジオはひたすら美しく、しかしどこか歪で、まるで生き物のように次々と形を変え躍動する。1曲目“十二月-Departure”から、シームレスに“See off”、さらに“安全な航海”へと演奏は続く。その始まりからわかるように、この日はアルバム『円』の曲順通りにセットリストが組まれ、作品が孕む「生の循環」とも言うべきコンセプトが、ライブでより深く表現された素晴らしい一夜となった。シューゲイズサウンドともエモとも一口では括りきれない、緻密にして自由なアンサンブルがそこにあった。

興味深いのはセトリの中盤に、1stアルバム『つくる』からの楽曲を4曲立て続けに披露した流れだ。“つくる”で梅畑洋介(Dr)の自在なビートが、“国”で古宮康平(G)の不穏ながらも心地好い轟音が、“Seamless”で吉田悠人(B)の野性的なシャウトが、そして“風船”で山北せな(Vo・G)の潜るように浮遊する歌声が、深く深く空間を満たしていく。ひとひらが『円』で描いた円環の外にもまた別の「生」の物語があり、その繋がりをここで見せることにより、『円』はさらに補完され広がりを見せたのだった。

  • 【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻
  • 【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻
  • 【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻
  • 【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻
  • 【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻
  • 【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻

そして、山北は「これまでのひとひらは、うるさめの曲が多いバンドだったんですけど、『円』では静かな曲も試行錯誤して作りました」と語り、“その景色”へ。そのアウトロが音源さながら“小さな亡霊”のアルペジオへと引き継がれ、その楽曲のカットアウトから即“ひのめ”のイントロへ。そしてラストのタッピングハーモニクスの余韻は格別。この一連の流れがとても美しく感動的だった。轟音の激情だけでなく、凪のあたたかみや晴れやかさまでを4ピースのバンドサウンドが体現するからこそ、ひとひらのことを単なるシューゲイズバンドとは形容したくないのだ。そこから目の覚めるようなバンドサウンドが響き“夏至”へ。またもや吉田のシャウトが、痛みにも似た激しいエモーションを体現し、会場は大きな歓声と拍手が沸いた。

  • 【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻
  • 【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻
  • 【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻
  • 【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻

山北は「『円』は『継承』を意識したアルバムでもある」と言い、「自分たちのやっている音楽ジャンルはcinema staffの存在なくしては語れない」と改めてリスペクトを口にした。そして「どのバンドも何かの音楽に影響されていて、そういう一瞬一瞬が連なって音楽シーンが生まれていると思う」と、その「継承」の意味を説いた。そしてラストの“円”では《今日あなたと明日を繋ぐよ》と歌う希望の響きが会場を満たしていく。俯き歩くシューゲイズな日々が、何かの出会いで変化し、人生が光を得る。その希望の継承が音楽だと、ラストのフィードバック音が告げているかのようだった。

【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻

アンコールは1曲。「cinema staffの影響をすごく受けて作った曲」と、“誰かの季節に”を。その過去と現在と未来を繋ぐような、光のような音像が今でも強烈に耳に焼きついている。(杉浦美恵)

【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻
【LIVE SPARKS!】シューゲイズともエモともポストロックとも括りきれないひとひらの豊潤な音の海に包まれた夜。今なお残る強烈な余韻

hitohira en tour 2025-2026
2026.03.28 Shibuya WWW

●セットリスト
1.十二月 - Departure
2.See off
3.安全な航海
4.繭
5.塔は白い
6.Evacuate / Undertake
7.つくる
8.国
9.Seamless
10.風船
11.その景色
12.小さな亡霊
13.ひのめ
14.夏至
15.フェリス
16.円

Encore
17.誰かの季節に


提供:パーフェクトミュージック
企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on