「CEN+RAL」というタイトル通り、アリーナの中央に設置された巨大なステージ。舞台というよりは要塞のようなそれの上空、四方にある顔のオブジェが、ステージを囲むスタンディングエリアの観客を見下ろしている。その、いつものライブからすれば異様ともいえるシチュエーションが、これから始まるライブへの期待をいやが上にも高める。そして開演時刻直前、スクリーンにある男が映し出された。誰であろう、ムッキムキの新井である。ファンの間で「新井侍」として親しまれている(?)彼がオーディエンスをアジテートするのだが、その背中には何本も矢が刺さっている。聞けば、このツアーを通して彼の背中に刺さる矢はどんどん増えていったという。バンドがいかに壮絶な戦いを潜り抜けてきたかを物語るようだ。ちなみに、その新井侍、この日はもちろん日本語で喋ったのだが、海外公演のときはちゃんと現地の言葉を使っていたらしい。脳筋かと思いきや意外と知的なのだ。「これより始まるは一夜限りの合戦。静まるもよし、叫ぶもよし。されど、魂を燃やさずして帰ること、断じて相ならぬ。日々の鬱憤、晴らせぬ怒り、誰にも届かぬ願い、それらを今日ここに携えて参ったのであろう。ならば問う。この横浜追加公演にて、その胸の内、解き放つ覚悟はあるか? 亜細亜を周りし王牛四人、震え上がらせる声を放つ覚悟はあるか? その拳を天高く掲げる覚悟はあるか? あるならば、その魂、この戦場(いくさば)に……叩きつけろ!! いざ、出陣!」うっかり書き起こしてしまったが、そんな新井侍による煽り文句に、観客は雄叫びを上げて応える。マインドセットは上々。ライブは冒頭から、とんでもないテンションで始まっていった。(以下、本誌記事に続く)文=小川智宏 撮影=Tomoyuki Kawakami、Kosuke Ito、Toshio Ohno、Shohei Kashima
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年9月号より抜粋)
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