All live photos by 清水舞 ラウドロック、R&B、ファンク、ダンスミュージックなどを自在に取り入れた音楽性、多彩な要素をポップに昇華するバンドサウンド、そして、キャッチ―な響きとエモーショナルな手触りを同時に放つボーカル。メジャー1stシングル『潜在的なアイ』を引っ提げた東名阪ワンマンツアーのファイナル公演で
13.3gは、バンドとしての圧倒的な個性を証明してみせた。
ステージには洋服が掛かったラックや小さなテーブルが置かれ、まるで部屋のような雰囲気。オーディエンスもどこかリラックスした様子だったのだが、メンバーが登場し、藤丸将太(Vo・G・Pf)が鍵盤を弾きながら凛とした歌声を響かせた瞬間、ムードは一変。さらに濃密なグルーヴをたたえたバンドサウンドが加わり、フロアの熱気は瞬く間に上がっていった。
ネオソウル、R&Bのテイストをまとったミディアムチューン“Smoky”、心地よいファンクネスをたたえたサウンドの中で《頑張らないで 力を抜いて》のコール&レスポンスが巻き起こった“ドッペルゲンガー”、瑞々しい疾走感に貫かれたギターロック“キライダー”と色とりどりの楽曲を重ねる4人。ジャンルを自由に横断しながら、13.3gのポップワールドへと導く姿からは、彼らが目指す方向性がはっきりと伝わってきた。
真ん中にあるのはもちろん、藤丸のボーカルだ。正確無比なピッチ、歌詞をきちんと届ける滑舌の良さ、豊かな中低音域~キラキラした高音を使いこなすセンスを含め、シンガーとしてのポテンシャルはとんでもなく高い。特に心に残ったのは“ベイビーブルー”。ピアノの弾き語りから始まるアレンジによって、今は離れてしまった《君》への思いがすべての観客にじんわりと浸透していく。もともとひとりで活動していた藤丸は、13.3gに加入後、バンドのボーカリストとしてのスタイルを模索してきた。この日のパフォーマンスからも、彼の成長ぶりを感じ取ることができた。
ライブの後半では、“恋愛進化論”や“Inside Out”などのアンセムを次々と放ち、会場全体のテンションをさらに引き上げていく。この日のハイライトはやはり、メジャーデビュー曲である“潜在的なアイ”だろう。パーカッシブに飛び跳ねる輪田拓馬(Dr)のビート、ド派手なフレーズを織り交ぜた藤原聖樹(B)のスラップベース、軽快なカッティングを軸にした奥野"ロビン"領太(G)のギタープレイ、そして、「潜在的に持っているものを大事にしながら進んでいきたい」という思いを刻んだ藤丸の歌。メンバー全員の個性、センス、才能がひとつになったこの楽曲は、13.3gの根本的な在り方とも直結している。
ライブ後半では、バンドやファンへの思いが溢れすぎた藤丸が言葉に詰まってしまう場面も。優れたポップセンスを備えている彼らは、決して小器用なバンドではない。メンバー同士が互いに感じてることをぶつけ合い、愚直なまでに音楽と向き合いながら、自分たちの音楽を生み出す。そういうバンドの本質をリアルに実感できたこともまた、今回のツアーの収穫だったと思う。(森朋之)
このライブレポートは、5月29日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』7月号にも掲載!
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13.3g ONE MAN TOUR「潜在的なアイ」
2026.04.17 Shibuya WWW X
●セットリスト01. MONSTER
02. 揚羽参式
03. 眠民ゼミ
04. Smoky
05. ドッペルゲンガー
06. キライダー
07. 指輪
08. 嘘つき
09. ベイビーブルー
10. 跳ねる
11. BUG
12. マイネームイズネガティブ
13. 最強Lady
14. 恋愛進化論
15. Inside Out
16. 潜在的なアイ
17. アニソン
18. HERO
Encore
19. エレファントマン
●リリース情報
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13.3g オフィシャルサイト
提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
企画制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部