現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』3月号表紙巻頭にVaundyが登場!こないだの紅白までが僕にとっての「10代」だと思っているんですよ。あそこでやっと僕の第1章が終わった
初めて語る生い立ちのすべて、その才能のすべて
ポップミュージックの真実と革命的人生のゆくえ、そのすべてを解く!
――決定版2万字インタビュー、そして「10の名曲」徹底レビュー!
インタビュー=小川智宏 撮影=太田好治
「紅白の“怪獣の花唄”でVaundyの第1章は終わった」。今回のインタビューでVaundyははっきりとそう言った。そして「第2章は『戦い』だ」とも。Vaundyは今、何を終わらせ、どこに向かおうとしているのか。何と戦い、どのような勝利を目論むのか。相変わらずとんでもない情報量とスピードで喋る人なのでなかなか咀嚼が難しいのだが、ひとつ解釈をするとすれば、いよいよVaundyは新進気鋭の新世代アーティストから、もっと巨大なマスに向き合うポップアーティストへと変貌を遂げる準備を整えたということだろう。紅白の舞台でNHKホールのお客さんを「もっといけるだろ?」と煽った瞬間に、彼には新しい風景が見えていたのかもしれない。
曲ごとに新たなジャンルに挑戦し続けるVaundyというアーティストの「全貌」は、正直に言っていまだに見えない。底が知れない、と言ったほうがいいかもしれない。彼を世の中が発見した“東京フラッシュ”から最新曲の“まぶた”まで、彼は興味の向くまま、好き勝手に音楽を作り続けているように見える。それはある意味ではその通りで、その先の読めない軌跡こそがVaundyそのものだとも言える。だが、だとしても、この2万字インタビューを読んでもらえれば、そこに一貫した「Vaundyの物語」があるということははっきりと感じてもらえるのではないだろうか。
ダンボールで仮面ライダーの変身ベルトやゲーム機を作って遊んでいた幼少時代から、母親から与えられたカルチャーの原体験、実はクリエイターとしてすでにマルチだった歌い手時代、そしてひょんなことから入った音楽塾ヴォイスでの経験や今まさに卒業しようとしている大学での学びまで、Vaundyが選び、あるいは必然的に経由してきた場所や時間はすべて、たったひとつの矢印を辿っているように思える。それは、仮に今が情報に溢れ、すべての材料が出揃ってしまった時代であったとしても、それを掛け合わせ、混ぜ合わせ、練り上げるスキルを徹底的に磨くことによって、まったく新しい、誰も見たことのない、真の意味でのクリエイションが可能なのではないかという思いだ。
誰よりもクールに今の創作の現場を見つめているように思えるVaundyだが、実は誰よりも「創造」にロマンを感じ、それを追いかけ続けている。そしてそこにこそ、今この時代にVaundyが現れ、その生み出すものに僕たちが熱狂する理由がある。Vaundyの作り出すポップミュージックの未来を全力で信じるための、初の表紙巻頭特集だ。(小川智宏)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年3月号より抜粋)
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