2024年12月、THE ORAL CIGARETTESのJAPAN初表紙巻頭特集をお届けする。何がバンドなのか？っていう自分たちなりの価値観を、お客さんにも共有したかった。
自分の弱さも含めた人間味が音に乗って、MCに乗っているライブをするバンドが、噓偽りない、リアルなロックバンドだなって思ってる
メジャーデビューから10年が経った今こそ送る、満を持しての大特集だ。
デビュー以降、「もっと上へ、もっと大きなところへ」という気概たっぷりに突き進んできたオーラルである。しかし2020年のアルバム『SUCK MY WORLD』リリースがコロナ禍とぶつかり、「これまで通り」を大きく見つめ直すこととなった。パンデミックの間に何を想い、どう行動するかはアーティストによって様々だったが、この期間を経てのオーラルの変化は、傍から見ても顕著だったように思う。対バンを積極的に行い、それまでの規模感からしたら小さすぎるほどのライブハウスを細かく回る。シーンの仲間と、フロアのオーディエンスと、目と目を合わせる。誰よりも抜きん出ることによってではなく、仲間と連帯し、その中心となるという在り方で、シーンを牽引する──
オーラルはこの数年をもって、野心のバンドではなく、愛のバンドになったのだ。
しかも、4人がそう変化したことで、求心力はさらに上がった。コロナ禍の閉塞感を味わったバンドキッズたちにとって、その振る舞いは縋りたくなるほどに希望だっただろう。カリスマなんて言葉は薄っぺらいかもしれないが、今のオーラルにはそういう風格がある。だからこそ、4年半ぶりのアルバム『AlterGeist0000』のタイミングで、初の表紙巻頭に迎えたいと思ったのだ。
そんなオーラルの、シーンに対する愛情と責任の象徴であったのが、彼らの主催イベント「PARASITE DEJAVU」だった。
2019年、2022年と過去2回開催し、2024年はコロナ禍の規制もすべて撤廃された「解放」の2日間として、その歴史に刻まれるはずだった。しかしながら、既報の通り、2日目の途中にカメラクレーンの事故が発生。イベントは大トリのオーラルの出番前に中止となり、その後、バンドは活動の休止を発表した。
今回お届けする2本のインタビューは、彼らが活動再開を発表した翌々日に行わせてもらったものだ。事故が起きる前からこの特集の実施は決めていたし、アルバムのことだけを聞くこともできた。しかしこのタイミングで彼らの言葉を届けるのであれば、「PARASITE DEJAVU」とはなんだったのか、事故のことも含めて語ってもらうのがメディアの使命であると感じ、まずはその話題からインタビューを始めていった。
最高傑作たる『AlterGeist0000』、そして山中拓也の2万字インタビューに至るまで──結果的に、4人の「ロックバンドシーン」への誠実で熱い想いを改めて知ることができる特集になったと思う。
このシーンにTHE ORAL CIGARETTESがいることへの喜びを噛み締めながら、全40Pをお届けする。
インタビュー＝安田季那子 撮影＝アミタマリ
（『ROCKIN'ON JAPAN』2025年2月号より抜粋）
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