Saucy Dogは常にグラデーションしている。自分たちのいいとこってなんだったっけ?って考えた時に、いろいろあるけど、やっぱり儚さだなって思って。
今までは新しいことに挑戦するSaucy Dogだったけど、今回は成長したSaucy Dogを見せる1枚になったと思う
毎年一作という超ハイペースでミニアルバムを出し続けているから当たり前と言われればそうなのだが、前の作品の一部の楽曲の空気感が次の作品に繋がっているということがよくあって、「今回の作品は」という単位では語りきれない場合が多い。
12月18日に発売された8枚目のミニアルバム『ニューゲート』にももちろんそういう一面はあって、たとえば前作『バットリアリー』の“現在を生きるのだ。”や“怪物たちよ”にあったような、今の世の中への提言を感じる楽曲があったりする。
……するのだが、この『ニューゲート』は、そういう「今」への鋭い視点に留まらず、さらに大きなところ──たとえば人生だったり、生まれては死ぬ命の繋がりだったりといった、悠久の時を感じさせるところまで辿り着いているように思うのだ。Saucy Dogには昔からそういう楽曲があったが、こうしてアルバム一枚を通してそれを感じさせるというのは、個人的には今までになかった感覚だった。これはあらゆる世代が、人生のさまざまなページにおいて「自分事」としてとらえられる素晴らしいアルバムだと思ったし、ああ、石原慎也はここまで到達したのだな、と思った。
と、そんな想いを石原慎也にぶつけてみたのが、ここからお届けするインタビューである。石原自身は、これを「到達」ではなく「原点回帰」だと言った。その真意を、そしてSaucy Dogが新たな扉を開いた根元にあるものを、ぜひ受け取ってほしい。
インタビュー=安田季那子 撮影=マスダレンゾ 撮影協力=株式会社BRAVO
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年2月号より抜粋)
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