こっちのけんとの『紅白』出場決定時、いくつかのメディアが「菅田将暉の弟 紅白内定」という表現を使ったのに対して、「可哀想」とか「せっかく音楽で評価されたのに」とか、いろんな意見が出た。確かにその見出しはいかがなものかと思うが、対する批判もそれはそれでモヤッとする。
彼の素性を知らないまま“はいよろこんで”を聴いた人も、ステータスから興味を持って音楽を聴いた人も、それ自体に貴賤はない。
大事なのは、「菅田将暉の弟で、鬱病になってサラリーマンを辞めて、双極性障害を抱えているこっちのけんと」が、その経験をもとに書いた鋭い歌詞をキャッチーなサウンドに乗せて届けたら、同情ではなく共感でもってみんなの心に刺さった、ということである。特別な環境下で、「何者でもない自分」にさんざん苛まれた彼だからこそ、誰よりも「普通の人」に寄り添うことができたのだ。その事実こそが希望だろう。
「普通の人」代表・こっちのけんと。新時代のヒーローである。
インタビュー=安田季那子 撮影=岩澤高雄
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年2月号より抜粋)
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【JAPAN最新号】「鬱病」も「菅田将暉の弟」も、全部さらけ出すから響く歌がある。「普通の人」代表・こっちのけんと、今がその革命の時!
2024.12.27 12:00