2月6日にリリースしたEPの『NARCISM』というタイトルが、なんともよく似合うバンドである。2020年に結成された彼らは、もともとフロントマン・二口(Vo・G)のソロプロジェクトに端を発していることもあり、バンドの輪郭をかたどる美学や世界観は彼のパーソナルに依存する割合が大きい。それはつまり、これまでのディスコグラフィを辿ることで、二口が何を経験して何を思い、どう変化してきたのかがわかる、ということでもある。かつては半ば露悪的に性的なワードや舞台設定も用いながら、クズでダメな自分自身を楽曲に投影することでラジカルな表現としていた
アンと私。ステージに立つ者として「ダメではあるがかっこいい」姿へと転換することを希求し始めたターニングポイントが、2024年にリリースしたミニアルバム『SWEET LILY / SAD FOREVER 2』だったと思う。それ以降の創作は先日のワンマンでも語られたとおり、時に苦悩も伴うものだったようだが、『NARCISM』にはその中で見出した自分たちのかっこいいと思う、大人の事情は横に置いて「これがやりたいんだ」ということが注ぎ込まれている。マッドなダンスチューンにとびきりキャッチーなコーラスを搭載した“GALTUNE”に、エロめのダブルミーニングが冴える爽やかなギターロック“口にして”、ハードロックテイストに始まり次々とビートを変えながら走る“サイレン”──。いずれも尖ったアプローチでありながら単なる自己満足には終わらず、ロックの快楽をリスナーと共有しようとする意志が見て取れる。加えて、時代にフィットしたツボは抑えつつ、根底から存外骨太で無頼なロックンローラー像まで香ってくるところもいい。
真のナルシシズムとは、決して無闇に「俺サイコー!」と信じて振る舞うことではなく、己の長所も短所も理解した上で「かっこいい自分」「理想の姿」とは何かを見定め、そう在ろうと徹底しきることだ。とすれば、本作は秋にメジャーデビューも控える彼らの、二口の覚悟の表れであり、今後の指針ともなっていくに違いない。
文=風間大洋
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年4月号より抜粋)
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