アレンジ/サウンドプロデュースに小西遼(象眠舎、CRCK/LCKS)が参加し、ピアノトリオと弦楽器、管楽器が有機的に融合したサウンドメイクが実現。本人たちもココラシカの音楽性の軸が表現できたと手応えを感じていることが、このインタビューからもわかってもらえると思う。取材当日、残念ながらドラムのこたが発熱のため欠席となったのだが、こうき、らな(B)にココラシカの進化についてたっぷり訊いた。
インタビュー=森朋之
──まずは前作“花瓶”の反響について。ココラシカにとって初めてのタイアップ曲(ドラマ『未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~』エンディング主題歌)だったこともあり、かなり反応があったのでは?コードとの折り合いを含めて、自分たちの魅力が詰まった曲だなというのは私も感じていて。当時から「この曲、やばくない?」って言ってました(笑)(らな)
こうき そうですね。SNSやYouTubeでも今までにないくらいコメントをもらって。めちゃくちゃ嬉しかったです。
らな この前、中野の駅前で路上ライブをやったんですけど、ドラマを観て、バンドに興味を持ってくれた方がかなり来てくれて。「“花瓶”すごくよかったよ」という話も直接聞けました。
こうき わざわざ愛知から来てくれた人もいて、びっくりしました。“花瓶”は弾き語りするのが難しい曲でもあるので、ちょっと苦戦してるんですけどね(笑)。
らな (笑)。演奏していたら気持ちが入る曲なので、しっかり届けられるように頑張ります。
──そして、2025年最初のリリースとなる“Q”も、ココラシカの新たな代表曲になる楽曲だと思います。
こうき はい。自分たちにとっても大事な曲だし、喋りたいことがいっぱいあります(笑)。
──ぜひ語ってください! まず、“Q”を書いたのはいつ頃なんですか?
こうき 高校3年生の最初のほうだから、1年半くらい前ですね。高校に入ってから本格的に音楽を頑張っていこうという気持ちになって、バンドを組んで。2年くらい続ける中で作曲のスキルも上がってきて、自分なりにコードの構成をいろいろと試していたんです。その中で「このコード進行とメロディはすごくしっくりくるな」と思えたのが、“Q”のデモ音源だったんですよ。
らな こうきが得意としているメロディだと思ったし、コードとの折り合いを含めて、自分たちの魅力が詰まった曲だなというのは私も感じていて。ギターレスの編成ともすごく噛み合っていたし、当時から「この曲、やばくない?」って言ってました(笑)。ライブでも1回だけ演奏したことがあるんですけど、ライブでどんどんやっていくよりも、じっくり構築して育てていきたい曲だと思っていて。
こうき 最初は3人でアレンジしたんですけど、その頃から「もしアレンジャーの方に入ってもらえるなら、小西遼さんにお願いしたい」って話してたんですよ。まさかこのタイミングで受けていただけるとは思ってなかったし、実現した時はめちゃくちゃ嬉しかったです。
──高校時代の夢が叶った、と。小西遼さんの音楽に惹かれたきっかけは?小西遼さんの音楽はブラックミュージックの要素がありながらも、歌謡曲的なメロディも取り入れていて。僕らもそういう音楽をやりたいと思っている(こうき)
こうき 高校1年の時にTENDREを好きになって、「サックスを演奏している人、すごくかっこいいな」と思ったんですよね。調べてみるといろんなアーティストの方のアレンジを手がけていらっしゃって、それもすごくよくて。象眠舎(小西遼のソロプロジェクト)で100人のコーラス隊とのコラボという企画があって、「これは行くしかない!」って応募して、参加しました。小西さんの音楽はブラックミュージックの要素がありながらも、歌謡曲的なメロディも取り入れていて。僕らもやっぱそういう音楽をやりたいなと思っているし、目指してる方のひとりでもありますね。
──“Q”のアレンジも素晴らしいですね。ココラシカの3人の音を軸にしつつ、ストリングスでメロディの良さを際立たせていて。
こうき 弦や管楽器のアレンジに関しては、小西さんにお任せした部分が大きくて。僕はレコーディングの時にずっと興奮してたし、終わったあともめちゃくちゃ余韻に浸ってました。夢にも出てきましたね(笑)。
らな (笑)まず自分たち3人の音を録って、そのあと、ミュージシャンのみなさんに演奏していただいて。自分たちはレコーディングブースで様子を見させていただいたんですけど、それぞれの楽器のプロの方が全力で取り組んでくれて……。その場で「こっちのほうがいいかな」「こういうニュアンスをもっと出してみたい」ってすごく真剣に考えていただいて、本当に素晴らしかったです。めちゃくちゃ感動したし、自分たちにとっても最高の1日になりました。
こうき 本当にお願いできてよかったです。当たり前ですけど、このアレンジは小西さんじゃないとできなかったと思うので。
──小西さんとのやり取りの中で得られたものも多かったのでは?
らな すごくありましたね。最初はオンラインミーティングだったんですけど、“Q”という楽曲の芯になっている思いだったり、それをどう伝えればいいか?みたいな話をさせてもらって。もともとのテーマが「多様性」だったんですが、小西さんがカウンセリングみたいな感じで話してくださって。自分たちにとってもさらにテーマを深掘りできましたね。
こうき 小西さんがアーティストをプロデュースする時は、すごく丁寧にヒアリングしていらっしゃるみたいで。その中で思いを掬い取って、それを音に落とし込むというのが小西さんのすごさだし、それは僕がやりたいことでもあって。もちろん音も素晴らしいんですけど、曲に込めた思いを大事にしていることが素晴らしいし、それも小西さんにお願いした理由なんですよ。