水田わさびさんと出会って10年経って、一生できないかもしれないって思ってた中でお話をいただいて。
自分だけの夢じゃなくて、わさびさんとの「私たちの夢が叶った」っていう感覚で
今回のあいみょんインタビューはとても楽しい。あいみょんが人生を通して育んできた無垢な願いと、アーティスト・あいみょんが刻んできた確かな歩みが生んだ「奇跡」をめぐる話を聞かせてくれた。このテキストを読む時間はきっと、心が弾むような時間になると思う。
だが、いうまでもなく、究極の偶然、という意味での奇跡によって、『ドラえもん』とあいみょんがめぐりあったわけではない。『ドラえもん』が不朽の国民的作品であり続けてきた歴史に、あいみょんがあいみょんとして歩んできた紛れもない評価と実績が、「今」というタイミングをもって重なりあったからこそ、このコラボレーションは生まれたのである。デビューから10年、あいみょんは様々な作品の世界観に出会うたびに、その作品への愛と責任を真正面から担うだけでなく、シンガーソングライターとしての成長と成熟を重ね合わせ、あらゆる期待に応え続けてきた。あいみょんが描く「主題歌」、その精度たるや今日もまた完璧だ。
“スケッチ”はとんでもなくいい曲である。呟くように歌われる優しい声。ひと言ひと言がシンプルに軽やかに、豊かな情景とともに飛び込んでくる。抑制のきいた鍵盤とストリングス。センチメンタルとノスタルジックの境界線を進んでいくその歌表現は、あいみょんだけの、繊細極まりない筆致の究極に達している。最高精度のクロノメーターを眺めるようなこの美しさは確かに「奇跡」的であり、と同時に、極まった技術と才能の賜物でしかない。
デビュー10年、29歳の出口に立つあいみょんと、今日もたくさんの対話を重ねてきた。
インタビュー=小栁大輔 撮影=小林光大
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年4月号より抜粋)
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