リリースされるや否や各種チャートを賑わせ、シーンに大きなインパクトを与えているVaundyのニューアルバム『replica』。リリース時のインタビューなどで彼自身が語っていたように、日本のポップミュージックシーンへの問題提起を孕んだものでもあったわけだが、その「問題作」がこんなにも真っ直ぐに広がり、受け入れられていくさまはまさに痛快と言っていいものだった。そんなアルバムを携えて11月18日、宮城・ゼビオアリーナ仙台からスタートしたのが、アリーナツアー「replica ZERO」だ。Vaundy自身にとっても初となる全国アリーナツアー、追加公演を含め6都市12公演にわたって繰り広げられたライブは、はっきり言ってこれまでのVaundyのライブとはまったく違うスケールで彼ならではのエンターテインメントを展開する、とんでもないものだった。ここに掲載するのはその序盤、12月2日の横浜アリーナ公演のレポートだ。Vaundyが目指すポップミュージックのあり方、そして『replica』に滲んでいた覚悟と確信がライブという生の場ではっきりと示されるような、大きな手応えを感じながら、僕はステージを観ていた。
場内に入ると、まず目を引くのは横浜アリーナの巨大なステージの中央から真っ直ぐに伸びる花道。もちろんこの大きな会場だからこその舞台設計なわけだが、そもそもVaundyはこれまでこうしたある種外連味のある装置をライブに持ち込むことはしてこなかった。このアリーナツアーでもスクリーンに映像を映すようなことはなく、あくまで生身のパフォーマンスだけで勝負するというストロングスタイルを崩すことはなかったが、それでもこうして花道があるというだけで、彼がこれまでのライブ表現から一歩踏み出していることがわかる。
(以下、本誌記事に続く)
文=小川智宏 撮影=日吉"JP"純平
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年3月号より抜粋)
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2024.01.30 12:00