【JAPAN最新号】ハンブレッダーズ、音も言葉も猛烈に肉体的になった傑作アルバム『はじめから自由だった』到着!──今、謳歌する「自由」を、そして抱く「覚悟」を、徹底的に語る

【JAPAN最新号】ハンブレッダーズ、音も言葉も猛烈に肉体的になった傑作アルバム『はじめから自由だった』到着!──今、謳歌する「自由」を、そして抱く「覚悟」を、徹底的に語る

目の前にあることを全力でやる。その中で「俺はこうだったんだ」と書いていくことが自分の人生の目的やし、「新しいもの」ってそういうことなんかなって思う


ハンブレッダーズの新しいアルバム『はじめから自由だった』が素晴らしい。まずタイトルからして最高だ。『はじめから自由だった』。私たちには時として何かを手に入れることよりも、何かを思い出すことの方が大事な時がある。ハンブレッダーズはそのことを私たちに伝えようとしているようだ。ねえ、「何が欲しいか」とか「何が足りていないか」で頭をいっぱいにするよりも、今この瞬間に君がどれほど輝いているかっていうことを思い出せよ──そう語り掛けるように。君はいつだってすっからかんで、でもすべてを持っている。

前々作『ギター』(2021年)、そして前作『ヤバすぎるスピード』(2022年)において濃縮されたバンドミュージックとしての直線的なエネルギーはそのままに、音楽的には、よりバリエーションが豊かになった。端的に言えば、めちゃくちゃ「踊れるアルバム」だ、この『はじめから自由だった』は。
特に“DANCING IN THE ROOM”や“無駄な抵抗”、“十七歳”に見られるリズムの豊かさは今作の鍵になっているし、そんなダンスフィール溢れる楽曲がもたらす軽快さやポップネスがあればこそ、“サレンダー”や“ビートアディクション”、“ペーパームーン”といった無敵のリフが響くロックトラックの存在感も際立つ。さらに最後には“グー”と“THE SONG”という珠玉のメッセージソングが待ち構えている。アルバム中盤に位置する“ひらがな”のメロウさも心地いい。そして、音楽が肉体的になればなるほど、ムツムロアキラ(Vo・G)が綴る言葉もまた肉体性を増していく。三十路目前の男のリアルも、消えることのない十七歳の痛みとロマンティシズムも、「君」に伝えたいことも、彼はこのアルバムで綴りまくり、歌いまくっている。

この素晴らしきアルバムをものにしたハンブレッダーズの4人に話を聞いた。4人の見事なバランス感のある関係性と、「作る」ことで「生きる」、その生き様を感じ取ってもらえるだろう。

インタビュー=天野史彬 撮影=アミタマリ
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年3月号より抜粋)


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