【JAPAN最新号】進化し、深化するミセスのエンターテインメント。歌が「台詞」となり「物語」を紡ぐ、FCツアー“The White Lounge”を観た!

【JAPAN最新号】進化し、深化するミセスのエンターテインメント。歌が「台詞」となり「物語」を紡ぐ、FCツアー“The White Lounge”を観た!
全国13都市を全22公演で巡るMrs. GREEN APPLEのファンクラブ会員限定ツアー「The White Lounge」は、今年3月2日・3日の東京ガーデンシアター2デイズでファイナルを迎えた。ツアーの公式サイトでは事前に、「着席での観覧」となることや、当日のドレスコードとして、必須ではないが「何か白いアイテムを身につけての来場」を促すインフォメーションがまとめられていた。筆者が訪れたのはツアー最終日。会場の座席に着いてまわりを見渡せば、それぞれに「白」のアイテムを身につけた人たちで埋め尽くされ、それだけでもう非日常の場所に身を置いている気分だった。開演前からオープンになっていたステージセットは、どこかの邸宅の瀟洒なラウンジを思わせるセットで、すでにそこでは白いスーツやドレスを身にまとい、マスカレードマスクを装着した男女のキャストたちが思い思いにくつろいで談笑する様子を見せていた。そのキャストたちは観客が行き交うフロアにも姿を現していて、優雅な佇まいでシートに座る観客に手を振ったり微笑んだりしている。一体ここはどこだ? 周到に用意された演出が、これから始まるステージがありきたりなライブコンサートではないことを物語る。

そのステージはミュージカルのようでありながら、ミュージカル以上に「音楽」であり、「ライブ」と呼ぶには、その表現は究極にシアトリカルで、「これまでに体験したことのないもの」としか表現できない自分がもどかしい。なんとか説明するとすれば、Mrs. GREEN APPLEがこれまで紡いできた楽曲たちを再解釈して並べ、そのセットリストの流れによって新たな物語を描き出す。そしてその場面にふさわしい舞台演出やダンス、台詞を、それこそ演劇の舞台と同等の質量で織り交ぜていく──というものだ。いや、こう書いたところで本質は伝わらないような気がするが、それほどにエクスペリメンタルな「ライブ」であったことは先に伝えておきたい。 (以下、本誌記事に続く)

文=杉浦美恵 撮影=田中聖太郎写真事務所(古溪一道・金谷龍之介)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年5月号より抜粋)


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