【インタビュー】CheCheのすべてがわかる初インタビュー! ロックへの憧憬が溢れたスタイル、好きを追いかけるロマンを語る

【インタビュー】CheCheのすべてがわかる初インタビュー! ロックへの憧憬が溢れたスタイル、好きを追いかけるロマンを語る - ©西槇太一©西槇太一

自分の人生なんだから自分が主人公でいたい。自分が嫌いなことをやって一生を過ごしたくない(Haruhi)

──私がCheCheの音楽を聴いて真っ先に感じるのは、自分たちの「好き」が溢れまくっていることで。

Haruhi そうじゃないと意味ないですね。

ヤマダ ロマンがありますよね。自分たちの好きなものを共有できたときの喜びってあるから。自分たちが好きなものを表現しないとそういうコミュニケーションはできないから、活動するからには、絶対に自分たちの好きなものを常に優先したい。

Haruhi 媚びを売る、売れ線を狙うとかじゃなくて、自分の人生なんだから自分が主人公でいたい。自分が嫌いなことをやって一生を過ごしたくないっていう、社会に対するわがままですね。

──それはわがままというか、「自分の人生を取り戻したい」という気持ちを抱えながら生きてきて、今こうして音楽ができる環境にいるのに自分のやりたい音楽をやらないと意味がないから、ですよね。そうじゃないと自分の過去も肯定できないだろうし。

Haruhi そうです。

──国内で活動していると「なんで英語で歌うんですか?」って訊かれることもあると思うし、今後「まず日本で多くの人に届けたいなら日本語のほうがいいんじゃない?」って言われることもあるかもしれないけど、CheCheが英語メインで歌うのも、好きを突き詰めることへのロマンを大事にしているからなんだろうなと思って。

Haruhi そうですね。僕が海外の曲ばかり聴いていて、かっこいいと思うのは英詞だからですかね。最近は日本語の歌詞でめっちゃかっこいいなと思うこともあるんですけど。英語も好きなんですよ。普通にしゃべってるだけでも英語の響きってかっこいいなと思ったりする。自分の好きなことをとことんやった結果、英語で歌ってるという感じですね。あと、海外の市場に出ていきたいとも思ってます。そもそも作曲するときに、スキャットみたいな英語でメロディを作ってるので 、それに歌詞を乗せようとすると英語のほうがはめやすいんですよね。

Dagabazi スキャットの仮歌の段階で聴こえがもうそれっぽいから、それが言語だったらいいのになって思う。それを正規の英語に置き換えていく作業が毎回大変だから。

Haruhi 日本語は音的に丸いというか。ゆったり聴かせる感じの曲は日本語も似合うんですけど、僕らのカチッとした感じの音には英語がいちばん合うなと思うんですよね。「日本語がダサい」とかじゃなくて、その都度音に合う言葉を選んでいるので、日本語が合うところは日本語を使うし。とにかく100%かっこいいものをやりたいんです。「歌詞がいい」とかももちろんいいんですけど、僕らは音を伝えたいっていうのもあります。

──でもCheCheの歌詞には、Haruhiさんの人間性とか、Haruhiさんの人生からしか出てこない言葉がちゃんと滲み出ていると思うんですよね。“ARCH”の歌詞はどういうイメージでした?

Haruhi デモの段階で、カラッとしてる印象だったんですよ。僕の感覚的な話なんですけど、「花」、「ひまわり」みたいな感じで⋯⋯まじで感覚ですね。夏っぽいけど涼しさもあるし、雨っぽさもありつつ晴れっぽさもあるなと思ったときに、「虹」が出てきたんですよね。虹って、雨が降らないとできないし、晴れないとできない。ふたつの存在がないと成り立たない、ということの良さについて書ければなと思ってました。「嫌いだな」「好きだな」と思うものがあると思うけど、それら全部に意味があるっていう。僕らも誰かが欠けたらできないし、僕らの関係性とも似ているなとも思いました。


──絶望にも希望にも意味があって、絶望したからこそ次の希望を見つけられたという、Haruhiさんの人生に裏づけされた言葉だと思うんです。私が感じるCheCheの魅力のひとつは、カラッとしたハッピーなサウンドでも、歌っていることの根底にはちょっと諦めとか絶望があることで。キラキラと光ってる希望でもただの絶望でもなく、「乾いた希望」くらいの温度感があって、それが今の時代の空気にハマっているなと思うんですよね。

岸本 Haruhiが言ったことにしてそのまま書いてもらえば?(笑)。

Haruhi 申し訳ないです、そのまま書いてもらっていいですか(笑)。

──(笑)。今私が言ったことは、当たってる?

Haruhi めちゃくちゃ当たってます。絶望もあり希望もあるから生きているわけで。人生、下がるから上がるし、上がるから下がっていくっていう。

──新曲“Spotlight”は、中毒性のあるギターリフがすごくかっこいいし痛快な表現になっているけど、歌詞からは自分と世の中への怒りみたいなものを感じました。この曲はどんなテーマで書こうと思ったんですか?

Haruhi 皮肉的な歌詞に憧れがあって。今、叩かれるのが怖いじゃないですか。皮肉だと「そこまで言ってないよ」とも「本心だよ」とも言えるから、逃げ道があるんですよ。

──“Medium Star”の歌詞とかも皮肉ですよね。

Haruhi そうですね。あの曲は、あからさまに嫌なことを言って、「中途半端なくらいがちょうどいいんだぜ」っていう。そうやって皮肉チックに書いてきたんですけど、今回はストレートに「ちょっとやばいよ」みたいなことを伝えたいなと思って。この歌詞を書いていた当時は、あまり掴めている感じじゃなくて。最近は掴めている感じがあるんですけど。

──掴めている?

Haruhi バンド自体も「よし、このままいこう」みたいな感覚がなくて、「このままでいいのかな」、「どうしよう」みたいな時期があって。それをそのまま歌詞に書こうと思って、初めてストレートな気持ちを書いた感じですね。暗闇にいてスイッチを探している描写とか、「光を当ててくれ」っていうのも、掴めてない感じとか見えてない感じがずっとあったので、それを表現したいなと思って。いろんな意味があるので、いろんな捉え方をしてもらって大丈夫なんですけど、ひとつは過去の自分と今の自分の言い合いですね。過去の自分から今の自分に「笑えねえよ」「情けねえこと言ってんじゃねえよ」っていう。でも「スポットライトを当ててくれ(《gimme spotlight》)」って言ってる時点で、それは媚びてるから、「違うだろう」っていうことを自分でやっちゃってますね。

──歌詞にはHaruhiさんの考えや人生がどうしたって滲み出るものだと思うんですけど、こうやってリアルをストレートに歌おうと思ったのはどうしてだったんですか?

Haruhi なんでですかね? 年齢? 10代だとこういう歌詞はちょっと恥ずかしくなっちゃって書けないかもしれないです。“ARCH”もそうですけど、物語を書いていることが多いなと思って。一回物語性を排除して自分の思ってることを歌詞に書いたらどうなるんだろうって思ったんですよね。

岸本 “Spotlight”はドラムがループじゃん? だからヒップホップ的な「リアルを歌いたい」というところに引っ張られたとか?

Haruhi ああ、それもあるかも。

ヤマダ サウンドがそうさせたんだね。

人類から見て新しいことをやりたいですね(Dagabazi)


──CheCheのサウンドがどうやって生み出されているのかも訊きたいです。“ARCH”はどういうふうに生まれた曲ですか?

Dagabazi 2nd EP『Waves』を作っているときのスタジオの空き時間で、俺が前に手癖で弾いていたフレーズを引っ張ってきて、そこからインプロビゼーションみたいにセッションからできたのが“ARCH”ですね。

ヤマダ 初めてセッションで作ったのがこの曲だよね。今まではそれぞれが固めてきて、そこに肉づけしていく感じで作ることが多かったけど。

──このグッドメロディも、セッションでみんなが楽器弾いてる中に乗せたところから生まれたもの?

Haruhi そうですね、セッションのときからほぼこのメロディです。我ながらグッドメロディだなと思います。「すげえやん」って自分で思っちゃいましたね(笑)。

Dagabazi 「これええやん」って、すぐにボイスメモを回したもんね。

──“Spotlight”はどうやって生まれたんですか? これは名ギターリフですよね。

Dagabazi これは、「曲を作らなきゃ」と思って膨大な量のボイスメモを探っていたら、高2のときに軽音部の部室でベースを弾いたものを見つけて、それを採用してループさせました。

ヤマダ もともとベースで弾いているリフなんですよね。これは確かに、ギターで弾いていたら出ないリフだなと思う。

Dagabazi サビは、イントロのリフから変わるじゃないですか。そこが難しかったです。オシャレにしてみたり、そのままいってみたり、こねくり回した結果、今の形にしたらかっこよくなって。こねくり回すと大体失敗するんですけど、成功しちゃった稀な例ですね。完成したときに、脳内によくわかんない汁が分泌されました。

──脳汁(笑)。

ヤマダ リフにメロディを乗せるのってけっこうムズいなと思っているんですけど、Haruhiはそれが得意なんですよね。“Magical Boy”とかも、「このリフにこのメロを乗せるんだ?」と思ったし。

Haruhi 逆に面白くなっちゃう。「これにメロディを作るのムズそうだな」っていうもののほうが燃えちゃいますね。

──今後は、バンドとしてどうなっていきたいですか?

Dagabazi 海外を目指したいですね。ヨーロッパ、アメリカに出ていきたいです。その前に日本全国でツアーをやりたいし、フジロックにも出たいですね。好きな人全員に届いてほしいです。

ヤマダ 僕らみたいな乗れるロックを、海外のライブでやったらどうなるんだろうっていう興味があります。海外の人から見て「ただ日本人がブリットポップをやってる」みたいにはなりたくないので、本場でも負けないくらい、CheCheとしてオリジナリティを持った音楽を作りたいですね。

Dagabazi 人類から見て新しいことをやりたいですね。

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