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今作のタイトルに掲げられた「愛」というテーマは藤井 風の音楽にとって常に真ん中にあり続けていたものだと思うが、それがより端的に、ストレートに、そしてはっきりと形になったという手応えの確かさが、このアルバムをとても美しく、そして揺るぎないものにしている。今作の歌詞が日本語じゃないからとか、制作環境が変わったからとか、そういうのは要因というよりはむしろ結果で、今作のとても正直で風通しのいい手触りは、2ndアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』以降の3年間で積み重ねられ、結晶化されてきたものだろう(それは初回盤に付属の既発曲のコンピレーション『Pre: Prema』を聴けばわかる)。幼い頃から彼の中に根づいてきたルーツや、アメリカでの新たな出会い、デビューからスタジアムクラスにまで一気に駆け上がった数年間の中で訪れた心境、そのすべてが注ぎ込まれたこのアルバムは、藤井 風という人をより親密に感じられるという意味でこれまで以上にポップなマスターピースだ。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年10月号より)
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