『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
タイトルは簡潔に拒絶を示しているが、聴けば、この曲にはコミュニケーションへの飢餓感が刻み込まれているのがわかる。《君のことなんていらない》と、突きつけなければならないほどのコミュニケーションへの飢餓。では、「《君》とは誰か?」──その問いに対しては、聴き手の数だけ答えが創造されるだろう。19世紀のフランスの詩人アルチュール・ランボーは「私とは一個の他者である」と手紙に書いた。あるいは、僕の知り合いは嫌いなヤツのSNSほど覗きに行ってしまうと嘆いていた。あなたにとって《君》とは誰だ。音楽的には、けばけばしいポップスへのアンチテーゼになりながら、同時に「みんなの歌」にもなり得る大衆性を持っている、その絶妙なバランス感覚があまりにもすごい。初期の頃から、ダンスミュージックに接近しながらも瞬発的なエロティシズムに向かうのではなく、人の内側と社会を探る眼差しを突き詰めてきたバンドは、今、極めて深く、生々しく、「人間」を描き出す境地に辿り着いているのではないか。(天野史彬)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年4月号より)
『ROCKIN'ON JAPAN』4月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。