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2月から開催したライブハウスツアーでバンドアンサンブルの強靭さに度肝を抜かれたばかりだが、新曲はまさかのロックバンドの縛りから脱却したサウンドプロダクション。劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』主題歌である本作は、80’sを彷彿とさせるシンセポップ的なアプローチが主体となっている。なぜ大胆に舵を切ったのかは本人たちに訊いてみたいところだが、映画の舞台「氷雪吹き荒れる山岳」の風景やストーリーを描く上での選択だろう。そもそもKing Gnuはメインストリームにない音を放り込んでくる存在であり、今回もそのひとつ。「同じことをやってても面白くないじゃんね」みたいな彼ららしい笑みも浮かんでくる。曲中に『名探偵コナン』でお馴染みのドアの音が入り世界観が変わる構成も巧みだ。「命とは刹那的である」「残されても生きていかねばならない」といった考えはKing Gnuの作品にずっと流れていて、死と生を扱い、毛利蘭が工藤新一に思いを馳せ続ける『名探偵コナン』との相性も抜群だ。(矢島由佳子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年6月号より)
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