このフルアルバムは、絶対に記事に遺さなくてはならないと思った。あとから振り返ったときに、いつまでも語り継がれる作品になると確信したからだ。Paleduskに大事なのは、歌じゃなくても、シャウトだとしても、そこに感情をのせること。フィクションは歌わないように
DAIDAI(G)が生み出す、ありとあらゆる音楽ジャンルを取り混ぜて予測不能に展開していく楽曲たちは、到底真似できるものではない。彼の類まれなるセンスとアメリカでの長い修行や日々の鍛錬といった努力に裏打ちされたものだ。
かといって、Paleduskの音楽は決して難解なものではない。本能的に体も心も躍り、どうやって楽しんだらいいのか迷う余地を与えない。「音楽は言語」だとDAIDAIが言う通り、音だけで感情が伝わってくる。音だけで一生分の物語や、一瞬の苛立ちを鮮明に描ききっている。これが本当の音楽の在るべき姿なのだなと思わされる。
そして何よりも、Paleduskはありのままだ。原動力は「バンド」という存在が何よりもかっこいいと信じる純粋な想いだし、KAITO(Vo)の綴る歌詞には嘘がない。だからこれまで聴いたことのないような音楽でも、心にダイレクトに響かせることができる。つまり、今までどのバンドも通ってこなかった道を切り拓くことで、Paleduskは本気で天下を取りに来ているのだ。
その大きな一歩であり、歴史的な作品になるに違いないセルフタイトル『PALEDUSK』について、KAITOとDAIDAIのインタビューと、今作に至るまでのバンドの歩みを改めて振り返るロングレビューの2本立てで特集をお届けする。既にPaleduskの音楽を浴びてきた人も、これから出会う人も、この転換点を見逃さないでほしい。
インタビュー=有本早季 撮影=Yohji Uchida
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年1月号より抜粋)
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