現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』5月号にアイナ・ジ・エンドが登場!「楽しい! やったー! 見つけたよ自分」とかはまだ1回もない。ずっと苦しいですね、まだ。見つけてみたい
ソロデビューアルバムから2ヶ月――
さらなる発見と自己認識の日々を語る
インタビュー=小栁大輔 撮影=岩澤高雄
アイナの初めてのソロツアー。そのファイナル公演を観て、これは紛うことなきすごいものだと思う。純な初期衝動、全身全霊を振り切ったパフォーマンス、削り出したままごろっと歌われる楽曲。と書けば、その佇まいはどこか「洗練される前の良さ」として伝わるだろうし、実際、荒削りは荒削りなのだが、で、それがたまらなく、もう本当にたまらなく愛しく魅力的なのだが、ライブを観終わって湧き上がるのは、「なぜこのライブはこんなに完璧なのだろう」というひと言だったりする。足りないものはなく、激しく心を突き動かしていくための、必要な「過剰さ」がちゃんと溢れかえっている。それは、今、というタイミングにおける奇跡的なバランスなのかもしれないが、どうもアイナという人は「今」だから、初期衝動と完成度を同居させられているのではなくて、いつも、これからもずっと、そういう人なのではないかという気がする。表現体として獰猛で、しかし優しく、受け手への気遣いを忘れず、そして歌を作り歌うことにどこか敬虔な畏れを持っている人なのだと思う。ソロアルバムからわずか2ヶ月で届けられたEP『内緒』でもそのバランスが見事に作品化されている。アイナが何かを掴んだ実感が、まったくキャラクターの異なった4曲からじわじわ伝わってくる。アイナ・ジ・エンドが進んでいくその先に、まだ僕たちの知らない、ピュアで、だが触れても触れても目減りのしない泉のようなエモーションが待っている。『内緒』を聴いているとそんな期待をしてしまう。
アイナ・ジ・エンドのソロライブは、4月10日、JAPAN ONLINE FES.でも観れるので、ぜひとも観てほしいです。(小栁大輔)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年5月号より抜粋)