定刻を少し回った頃。「ファンキー4」ことSCOOBIE DOのメンバーと、高野勲(Key)、西岡ヒデロー(Tp)、栗原健(Sax)、廣瀬貴雄(Tb)の、ゲスト・プレイヤー4名が登場。先述したコヤマの言葉を皮切りに“ラストナンバー”でライブをスタートさせると、フロアのあちこちで気持ち良さそうに身体を揺らすオーディエンスの姿が見られる。“路上のハードボイルド”~“Soulful Christmas”のセッションでは力強い拳が振り上げられるシーンもあったけど、そこにオーディエンスに緊張を強いるようなスリリングなムードは皆無。「俺とお前のソウルで音楽を鳴らそうぜ!」とシャウトしながら伸びやかな歌声を届けていくコヤマも、常に笑顔だ。続く“恋は魔法”では陽性のメロディと煌びやかなホーンの音色がオーディエンスのハンドクラップを誘い、場内の空気をゴージャスに染め上げていくのだった。
さらに面白かったのは、日本語詞の立った歌モノが多かったことにより、彼らの音楽の根幹を成す「ソウル」が鮮やかに浮かび上がっていたこと。《高く顔上げたら 捨てちまえよ/形ばかりのプライド》(“パレード”)、《夢の中 歩き出すなら/希望や期待なんかもポケットに入れよう》(“最終列車”)という言葉がコヤマのソウルフルな歌声で届けられるたびに、「日々をポジティヴに生きていこう」というシンプルなメッセージが胸に突き刺さってくる。「ファンク」や「ソウル」をテーマに掲げているバンドだけに、聴き手をダイレクトに鼓舞するサウンドの強靭さにばかり普段は目が行きがちになってしまうけど、こういった真っ直ぐ聴き手に訴えかける歌詞の力強さに改めて感じ入ることができたのも、今夜の大きな収穫だったと思う。
アンコールでは、まずはメンバー4人のみが登場。7月16日にタワーレコード限定発売される怒髪天とのコラボ・シングルの中から、熱くエロティックなダンス・チューン“おんな”を披露する。さらにサポート・メンバーをステージに呼び込んで、“やっぱ音楽は素晴らしい”“夕焼けのメロディー”を軽やかに奏でてフィニッシュ。ダブル・アンコールでは“また逢う日まで”をしっとりと奏で、この日最後の横揺れをフロアに生み出して「MELLOW NIGHT」を締め括った。明日はメンバー4人のみによるガチンコ勝負の「FUNKY NIGHT」。豊かな音と豊かな言葉が淡い情景を描いた今夜のライブを跳躍力として、どこまでも強靭でアッパーなヴァイブスが生み出されることだろう。(齋藤美穂)
1.ラストナンバー
2.ミラクルズ
3.路上のハードボイルド~Soulful Christmas
4.恋は魔法
5.恋をした男子
6.サンセットグルーヴ
7.言葉になんてならないね
8.無敵のバカ
9.夕陽の進むほう
10.こぼれそうな涙
11.パレード
12.Beach Party
13.最終列車
14.Steppin’ Loud
15.Beautiful Days
16.Swingin’ Rebels
17.愛はどこだ
18.TIGHTEN UP
19.Funk-a-lismo!
アンコール1
20.おんな
21.やっぱ音楽は素晴らしい
22.夕焼けのメロディー
アンコール2
23.また逢う日まで