M1.夢見る隙間
M2.milk
M3.相合傘
M4.power of love
M5.なんて一日
M6.恋愛
M7.プラマイ
M8.ドライヤー
M9.アンドロメダ
M10.えりあし
M11.雨踏むオーバーオール
M12.恋のスーパーボール
M13.明日の歌
M14.beat
M15.小鳥公園
M16.舌打ち
M17.赤いランプ
M18.be master of life
<アンコール>
M19.恋をしたのは
M20.Loveletter
M21.キラキラ
<ダブルアンコール>
M22.エナジー
M23.mix juice
M24.鏡
約4ヶ月半にわたり全国9ヶ所31公演で開催してきた「Love Like Rock vol.8」のツアーファイナルとなったZepp Tokyo。ライブハウスを中心に構成されたLLRシリーズとしては過去最大規模となった今回のツアーは東京公演だけでも10公演を数える大規模な内容となった。開演時間。ソールドアウトの会場に荘厳な音楽が流れ始めると、スクリーンには荒野にたたずむ古城が映し出され、真っ赤なカーテンがバサリと落ちた。そして1曲目はフロアの期待感を一気に爆破するアップナンバー “夢見る隙間”で幕を開けた。バックバンドにはバンマスの佐藤達哉(Key)をはじめ、芳賀義彦(G)、須藤優(B)、佐野康夫(Dr)、さらに初参加の設楽博臣(G)、伊澤一葉(Key)を迎えた、ツインギター、ツインキーボードによる総勢6名が名を連ねて、ソリッドかつ重厚感のある演奏でaikoのパワフルな歌唱を支えていた。弾むビートでフロアが一斉にジャンプした“milk”や、赤と青のレーザーが縦横無尽に走った“相合傘”。aikoはセンターステージへと伸びる花道を何度も移動してはお客さんの手を握り、フロアの隅々にまで視線を配っていた。ホールやアリーナ会場では実現することが難しいaikoとの距離の近さがLLRシリーズの大きな魅力のひとつだ。リリースに紐づくライブではないため、“恋愛”や“ドライヤー”といった新旧シングルのカップリングなども披露していくなか、バラード“えりあし” が素晴らしかった。誰の日常にもあるありふれた風景から広がるaikoだけのラブソング。繊細なメロディにのせて、震える心の景色をつぶさに映し出す恋の歌は決して色褪せることがない。
アンコールでは“キラキラ”を含む3曲を披露したあと、さらに会場の鳴りやまない声援に応えたダブルアンコールへ。冒頭に書いた骨折の事実を明かすと、aikoは「わたし、骨折れてるので、そのぶんみんなで盛り上げてやってください!」と叫んだ。もっと、もっと、と地団駄を踏むようにオーディエンスを煽った“エナジー”や、軽快なロックンロール“mix juice”、そしてポップパンクなライブアンセム“鏡”へ。限界を超えたパフォーマンスを見せながら、「絶対にまたライブをやりたいです!」と約束を交わして、およそ3時間にわたるライブを締めくくった。エンディング映像が流れる直前には、さらにアカペラで“カブトムシ”のワンフレーズを歌うというスペシャルな一幕もありつつ、ファイナル公演では特別なエンディング映像が用意されていた。オープニングと同じように荒野が映し出され、空を飛ぶ鳥がやがて辿り着いた先には「20th」という石像が置かれていた。1998年7月に1stシングル『あした』でメジャーデビューをしたaikoは来年いよいよ20周年を迎える。キュートで人懐こい表情の奥に表現者としてのひたむきな情熱を燃やし続けてきた愛すべきシンガーソングライターは、きっとその節目の年を盛大に祝福されることになるだろう。(秦理絵)