【インタビュー】神はサイコロを振らない、結成10周年&デビュー5周年! 初の武道館ワンマン直前の新曲“スケッチ”に滲む神サイの「挑戦」と「未来」のかたち

【インタビュー】神はサイコロを振らない、結成10周年&デビュー5周年! 初の武道館ワンマン直前の新曲“スケッチ”に滲む神サイの「挑戦」と「未来」のかたち
ドラマ『ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』第6話エンディングテーマ“火花”をはじめ、“May”、“Baby Baby”、“シルバーソルト”といった鮮烈な楽曲群を通して、2024年の神はサイコロを振らないは自らの音楽世界をさらにアップデートしてみせた。そして2025年──2月11日に開催する自身初の日本武道館ワンマンライブ「Special Live for Double Anniversary Year 2025 "神倭凡庸命 -カムヤマトボンヨウノミコト-" at 日本武道館」に先駆けて、神サイが配信リリースした新曲“スケッチ”。メンバー4人の10年史と、武道館という晴れの舞台、さらにその先へ歩き続ける決意……といった重要なテーマが、飾らない言葉とメロディ、サウンドとともに胸に響く名曲だ。

ラウドロック/ポストロック/ポップス/バラードなど多彩な音楽性に手を伸ばしながら、そのすべてを「神サイの音楽」として血肉化してきた彼ら。6月で結成10周年、7月でメジャーデビュー5周年のダブルアニバーサリーイヤーを迎える今、彼らはバンドの運営面でもマインド面でも、「これから」を見据えたうえでの変革の真っ只中にあった。以下、新曲“スケッチ”を巡るメンバー全員インタビューを通して、神サイの「挑戦」と「未来」に迫ってみた。

インタビュー=高橋智樹 撮影=AZUSA TAKADA


【インタビュー】神はサイコロを振らない、結成10周年&デビュー5周年! 初の武道館ワンマン直前の新曲“スケッチ”に滲む神サイの「挑戦」と「未来」のかたち - 柳田周作(Vo)柳田周作(Vo)

「メンバー4人が神サイのプロデューサーにならないけんのかな」って。
神サイ結成10周年。この年がたぶんいろんな意味で転換期になる

──結成10周年・デビュー5周年のアニバーサリーイヤーに向けての、まさに幸先のいい大舞台が控えているわけですが、初の日本武道館ワンマンライブを目前に控えた心境はいかがですか?

柳田周作(Vo) ぶっちゃけまだ「本当にできるのかなあ?」と思うぐらい(笑)、今(取材は1月下旬に実施)も毎日、照明さんとかカメラチームとやりとりしていて。たぶん前日ぐらいまでこういう感じなんだろうなってヒヤヒヤしつつも、すごくワクワクしてます。いろいろチームの体制が変わって、今回の武道館は初めて演出をメンバー主軸で考えていく、プロデュースしていく座組になってまして。「メンバー4人自体が、神サイというバンドのプロデューサーにならないけんのかな」っていう転換期ですね。右も左もわからなくて、毎日発見と挫折を繰り返しながらですけど(笑)。バンドの平均年齢が30歳になったところで、神サイ結成10周年を迎えて、この年がたぶんいろんな意味で転換期になります。親父やライブハウスの店長からも「ここからが人生絶対面白くなるぞ」って言われていて。4人で支え合いながら、足りないところを補い合いながら歩んでいったら先は明るいと思うし、今は未来しか見えてないです。

桐木岳貢(B) メンバー4人が主体となって進めていくのは初めてなので、今は1日1日がマジで濃くて。今までやったことがないことを掘っていく作業なのでまだまだわからないことだらけなんですけど、めっちゃ楽しいですね。武道館を終えたあとの自分たちがどんなふうになってるのかが今から楽しみです。

黒川亮介(Dr) 僕はそんなに実感が湧いてなくて……渋谷に武道館開催の告知トラックが走ってるのを見た時(2024年6月9日)に、「ああ……やるんや」って思ったんですけど、月日が流れるにつれて、その気持ちはどこかに行って──。

柳田・桐木・吉田喜一(G) ははははは!

黒川 一旦忘れてしまって(笑)。でも、演出だったりをメンバー主導で考えるようになって、最近は実感が湧いてきました。自分たちは音楽を作って演奏すること以外はできないことが多くて、「助けられてるなあ」ってすごく感じましたし。メンバーが意見を発しやすくなって、思ってることをやりやすくなったので、その状態をファンの人にも観てもらいたいですね。

吉田 チームとしてもメンバーとしても、武道館に向けて作り上げている中で、いろいろ発見があって前向きな気持ちでやれてますね。武道館は通過点じゃないですけど、ここから先のことを見据えてやるイベントという気持ちもあって。あと、僕は武道館に憧れがあるので、夢が果たせるという意味でも充実したものになると思ってます。

──特に印象に残っている武道館ライブは?

吉田 ポルカドットスティングレイの武道館ワンマン(2019年7月)を観に行った時は、とんでもなく悔しくて──。

柳田 (笑)。

吉田 ハルシ(エジマハルシ/G)は同い年で同じ時期に福岡で活動し始めたので、そういうところでの悔しさもあって。でも、尊敬してる部分ももちろんあるので「自分らも頑張んなきゃなあ」って思ったのが印象に残ってますね。

柳田 ポルカは結成の年も一緒だし一緒にオーディションとかも出てたし、戦友でもあるよな。ポルカ、ユアネス、Paledusk……同郷の福岡の同世代たちと切磋琢磨して、しのぎを削ってきたので。

【インタビュー】神はサイコロを振らない、結成10周年&デビュー5周年! 初の武道館ワンマン直前の新曲“スケッチ”に滲む神サイの「挑戦」と「未来」のかたち - 吉田喜一(G)吉田喜一(G)

人間自体から生まれる揺らぎとか歪みを信じていきたいというか。
「上手くなること」を突き詰めた先で、人間はAIに勝てるのか?と思って

──若者のバンドとして始まった神サイが、将来を見据えてもう1回ギアを合わせ直す時間でもあったのかもしれないですね。

柳田 そうですね。2024年は年明けから激動の1年でした(笑)。でも、4人でいっぱい話し合って、乗り越えて、チームのみなさんとも話し合って……「塊」になりつつあります。メジャーデビューから今まで、楽曲の方向性とかタイアップに向けての制作とか、全体で何かを考えていくことよりも僕ひとりで入り込んでいく瞬間が基本的には多かったんですけど、今年の1月はありがたいことに4人で時間をかけてレコーディングしてて。みんなでディレクションすることで、それぞれの楽器が何をやってて、どんな癖があって……とか、見えてくる部分もすごくあったんですよね。

──いいですね。今の話を聞く限り、すごくいい試みのような気がします。

柳田 あと、ほんの1〜2年前まではグリッド(マス目)の中にはめていく音楽の作り方が正義だって思ってたんですけど、この1年間メンバーと音楽だけじゃなくていろんな楽しい話をして、海外アーティストのライブ映像をいっぱい観て……ってやっていく中で、「人と人がやる意味」を改めて考えるようになったんです。それに気づけたきっかけとしては、「Billboard Live」(東京&大阪/2024年11月)も大きくて。「シーケンスを取っ払って生演奏だけでライブをしてみようぜ」ってなったことが、神サイを成長させてくれました。サポートピアニストとしてDevin Kinoshitaさんに入ってもらったんですけど、凄腕のDevinさんが軸を作ってくれた生のグルーヴに俺たちが乗っかっていって、人間のグルーヴが生まれて……目を見て、呼吸を読みながら音楽をするのって、なんて楽しいんだ!って(笑)。初めて楽器を触った時みたいな感覚が、「Billboard Live」の時に走ったんです。そこからライブだけじゃなくて、楽曲の作り方に対する意識もガラッと変わって、そのあとすぐに生まれたのが“スケッチ”でした。人間自体から生まれる揺らぎとか歪みを信じていきたいというか。精度が高いもの──BPMのグリッドの中に正確にはめていく作り方だったり、歌にしても楽器にしても「上手くなること」を突き詰めた先で、果たして人間はAIに勝てるのか?と思って。

──確かに、その恐れはどの分野でもありますよね。

柳田 将棋だと、もうとっくに人間はAIに勝てないらしいんですよ。でも、人間が観るのは人と人の勝負であって、結果じゃなくてそこに至るまでのプロセス、ドラマが面白いわけで。僕らの場合は、4人が誰ひとり欠けることなくこの10年歩んできたことが強みだし、魅力なんですよね。みんな等身大だし、ロックスター!みたいな振る舞いは誰もしてない(笑)。俺も今日、スウェットでここまで来ちゃってるし──。

吉田・桐木・黒川 (笑)。

柳田 でも、ずっと大学生みたいな4人がバカをやりながら、ファンと同じ目線で音楽をやってるっていうことにみんな共鳴してくれてると思うので。その究極体が“スケッチ”だと思うんですよ。

次のページ“火花”の歌詞を書いてる時はマジで死にかけてたんですよ。
「絶対負けんぞ!」「やったったるぞ!」っていう気持ちがそのまま歌詞に出てる
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