フランツで踊りたい、そんな欲求に真っすぐ応えるオープニング曲からシン・リジィばりのギター・リフが差し込まれるM3や、ギタポとポスト・パンクが正面衝突するようなファストなM5、クリーピーなサウンド・プロダクションのM8&M9を経て、雑多なテイストをふくよかなメロディへ昇華させるエンディングへ。「フランツ・フェルディナンド」という完成されたパッケージを開けたら色んな物が現れて、でも最終的に一つの箱に納まっていく、そんな完璧なレコードになっている。改めてバンド・ロゴを見ると、いかに彼らが最初からクラシック・ポップを目指していたかを思い知らされる。
00年代半ば、フランツの登場で引き起こされたロック・バンドのポップ解禁は、実に、実に大きなものだった。今振り返ればフランツの登場は、何よりも早かったインディ・ポップの逆襲だったのだ。その後、数多のギター・バンドがポップ化し、ポップなギター・バンドが現れたが、それらの多くが的確に時代の空気を射抜きながらクラシックとして生き続けることはできなかったし、その意味で誰もフランツには追いつけなかった理由がここにある。(羽鳥麻美)