ハイブリッドなエモ

CoolRunnings『HYBRID HUMAN』
2010年01月20日発売
MINI ALBUM
CoolRunnings HYBRID HUMAN
約1年前のCOUNTDOWN JAPAN 08/09のステージで、バンド名とは間逆のエモいMCをしていたのを今でも思い出す。そして同じくエモいステージを披露したことを鮮明に覚えている。そして今回届けられた音源、もちろんその中心にあるのは「エモ」である。泣きのメロディもあれば、キャッチーなリフもある。ノスタルジックでメランコリックな歌詞もある。しかし今作には、どこか「エモ」を対象化したクールさも漂っているのだ。バンドに熱がないとか、伝える対象があいまいだとか、そういう話ではない。たとえば表題曲の“Hybrid Humanは、全てがデータとシステムと送受信のみで処理される時代に、どう人間が生きるかを問いかけた歌。ここには明確なストーリーが存在しているのだ。「エモ」のスタイルとして、これはひとつステージが違う。ひたすら「感情」の爆発のみで突破するのではなく、物語の「論理」で説得を試みているのだ。CoolRunnings、やはり単なる「エモい」だけの奴らではない。おそらくハイブリッドになったのは、その音楽だけでなく、バンド自身も含まれているからだろう。(徳山弘基)
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