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映画『ドールハウス』主題歌として書き下ろされた新曲。厳かなコーラスとピアノのバッキングによって導かれる曲調は、『ドールハウス』が奇妙なミステリーである前に身近で大切な人のかけがえのない命にまつわる物語であることを捉えている。《棲みついた天使は 痛みの鎧/いいから 願ったら 現れる気がした》と、ACAねは主人公・鈴木佳恵(演:長澤まさみ)に成り代わるようにその思いを迸らせるのだが、たとえそれが他者の目には奇妙な狂気として映ったとしても、人は何かに思いを託し、或いは依存し、幻想に酔いながら日々をどうにか過ごしているものだ。誰かの《痛みの鎧》を理解し難い狂気として突き放すのではなく、自分自身の痛みとして受け入れ寄り添ってゆく懐の深さが、“形”という楽曲の、ひいては『ドールハウス』という映画の、最重要テーマとなっているように思える。人形という偶像によって救われる魂があるなら、ポップスターの一挙手一投足に一喜一憂する我々だって何も変わりはしないのだから。(小池宏和)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年8月号より)
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