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ピアノと電子的にループするビートのみで構成された静謐でアンビエントな音空間から、春の訪れの如く一気に彩り豊かな祝祭感に包まれていく最初の2分強、なんてゾクゾクするんだろう。「TAKANAWA GATEWAY CITY 未来体験シアター」オリジナル楽曲として書き下ろされた経緯もあり、《貴方がどんな貴方だとしても/今がどんな時代だとしても》と2025年の社会やそこに生きる人々の現状を受け止めたうえで、《行け、降り続いた/涙の雨は花を咲かせ》《鳴り出す胸が向かう方へ翼広げて》など、未来への推進力と希望を願い祈る言葉がまず印象的。そしてなんといっても、随所に見られる塩塚モエカの低音ボーカルが素晴らしい。ドリーミーでメランコリックなそれではなく強い意志の滲んだ歌声は、楽曲全体のドラマ性をより一層深めながら、ポジティブで普遍的なメッセージに確かな体温と説得力を与えている。リスナーのみならず彼女たち自身をも《素晴らしい未来》へと導く金字塔として、羊文学史に名を残すに違いない傑作誕生だ。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年6月号より)
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