ブライアン・ウィルソン他界の報に触れた時、夏の少年は終わりのない夏に旅立ったのだな……と思った。
幼少期から天与の音楽的才能を発揮した彼は、1940年代の男声ジャズコーラスグループの緻密なハーモニーとエレキギターコンボの融合を着想する。カールとデニスの弟ふたり、従兄弟マイク・ラヴ、友人アル・ジャーディンと1961年にビーチ・ボーイズを結成。
当時南カリフォルニアで流行していたサーフィンをモチーフに、海/ロマンス/車という桃源郷を音で描き出し、ヒットを放つ。だが並行して、フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンド、ザ・ビートルズ他、ポップ界には新波も押し寄せていた。そうした同時代からの影響を吸収/咀嚼し、彼が自らのビジョンを推進/結晶化させた『ペット・サウンズ』は、音楽的な革新および後世に与えた影響という意味でいまだに金字塔の1枚だ。
20世紀アメリカンポップスの巨人に敬意を表する本特集が、その足跡を再訪/発見するきっかけになることを心から願っている。(坂本麻里子)
ブライアン・ウィルソン追悼特集が掲載されるロッキング・オン8月号