暴露された「今の人間」

Ado『狂言』
発売中
ALBUM
Ado 狂言
初のフルアルバム。“うっせぇわ”や“踊”などの既発曲はもちろんだが、たとえば、煮ル果実作“マザーランド”や伊根作“過学習”における弱き者たちの叫びのような詩情、jon-YAKITORY作“FREEDOM”に感じる革命前夜の武者震い、柊キライ作“ラッキー・ブルート”の苛立ちと生き様、Kanaria作“ドメスティックでバイオレンス”の粗野な振る舞いに込められた威風堂々とした気高さ……そんな新曲群を聴くにつけても、そこにある享楽性と悲しさ、肉体性の中に、「今の人間」の姿が露わに感じられる。Adoを含め参加したクリエイターたちの繋がりを安易に「シーン」と呼びたくないのは、この繋がりにもっと新しいバランスの何か、言うなれば「親密な共犯関係」のようなものを感じるからだ。

歌が響くことには「人間が表れる」という面が確かにある。その「人間」を見て「そうなんだよ」と分かち合い、共に歌い踊る者もあれば、「ヤバい、バレた」とギクリとさせられる者もある。今、Adoほど生々しく「人間」の姿を私たちの前に晒している「演者」はいない。本作を聴けばなお強くそう思う。(天野史彬)

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