《生きているうちはずっと旬だと/そう裏付けて/充たして/いまを感じて覚えて何時もより/生きて、生きて、活きて居よう》──本編最後の“旬”で椎名林檎がひときわ高らかに歌い上げていた言葉は、この日のライブの核心を何より明快に言い当てるものだった。「旬」という概念が、アーティストが放つ表現の鋭利さを意味するものであれば、今回の「椎名林檎 党大会」のアクトはまさに、己を批評し、その本質を強く美しく鍛え上げ続ける、椎名林檎の在り方の象徴そのものであると言えるだろう。5月1日、すみだトリフォニーホール。珠玉の名演だった。
デビュー15周年を記念して2013年11月、東京・渋谷のオーチャードホールで全5公演にわたって開催された「椎名林檎十五周年 党大会 平成二十五年神山町大会」から約13年。3月の大阪・The Symphony Hall公演からスタートした「椎名林檎 党大会 令和八年列島巡回」は、その名の通り8都市を巡る計18公演の全国ツアー。しかも、「党大会に相応しい、音響に定評のある会場を選りすぐりました」と特設サイトにも記されていた通り、いずれの会場もオーケストラの演奏にも対応可能な音響空間を備えたホールばかりだ。その18公演の中でも、4月1日・2日、4月30日・5月1日と計4公演を占めていたのが、東京・錦糸町駅からほど近いすみだトリフォニーホール。新日本フィルハーモニー交響楽団の本拠地でもあり、1997年の開館の際には故・小澤征爾の指揮でこけら落とし公演を行ったホールでもある。ステージ背後のパイプオルガンが荘厳な存在感を放つ会場で、オーディエンスの期待感が静かに、しかし確実に強く濃く高まっていく。そして──。(以下、本誌記事に続く)
文=高橋智樹 撮影=太田好治
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年7月号より抜粋)
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