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自作曲封印という『禁じ手』に踏み込む、というかつて東京事変の『娯楽』で示した方法論を「椎名林檎」の大看板のもとでやってみせたのがこのアルバムだ。東京事変のそれがメンバーのクリエイティビティの発見だったとするなら、今作は椎名林檎の個性の発見。三宅純による“至宝”の背徳的なオーケストレーション。向井秀徳による“SI・GE・KI”のエクスペリメンタルなざわめき。BIGYUKIの“秘め初め”の耽美なエレクトロ。各々が各々の仕事をエクストリームに全うしながら、ハイからローまでますます妖艶な美を放つ椎名の声がだるまの目を描いていく。椎名林檎は表現形態の多様さゆえに「これ」という代名詞で簡単に形容できないアーティストだが、逆説的に言えば、どんな表現も自家薬籠中の物とする純粋無垢でいて芯の強い輝きを放つ存在であることがこの作品を通して浮かび上がってくる。“至宝”はブシュロンとのコラボレーション楽曲だが、《なんだ、ただのダイヤモンドか。》という呟きは、椎名に対する我々の気づきに満ちた称賛でもある。(畑雄介)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年5月号より)
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