「待たせたな、武道館!」。SEに続いて登場したりょたち(G・Vo)が叫んだ。その、まさにロックバンドらしい第一声が、4人のこの夜に懸ける思いを体現していたように思う。ねぐせ。初の日本武道館単独公演「ファンタジークライマックス」。そのタイトル通り、彼らの歩みの最高潮を刻むライブは、最初から最後まで、ロックバンド・ねぐせ。のタフに成長した姿を刻む熱い時間となった。自分たちの生き方を認められずとも貫き通して、ねぐせ。というバンドをずっとやり続ける。
約4年やってきて、それがいちばん大事なことだって気づきました(りょたち)
会場を埋め尽くしたオーディエンスを前に、彼らが1曲目として選んだのは“愛してみてよ減るもんじゃないし”だった。なおと(Dr)の踏み鳴らすバスドラが、バンドとファン、双方の高鳴る鼓動のように鳴り渡り、しょうと(B)のベースが武道館の張り詰めた空気を震わせ、なおや(G)がステージの真ん中で魅せるギターソロが大歓声を巻き起こす。りょたちの声は優しくも力強く耳に飛び込んでくる。アルバムとツアーを経てさらに強固なものへと進化したバンドのアンサンブルが、さらなる気合いをまとってくっきりとした輪郭とともに届いてくる。今まで観た彼らのどのライブよりも説得力と迫力を持ったその音は、たどり着いたこの日を自分たちの手で正解にしてみせるという4人の心をそのまま表しているように思えた。
(ライブレポートより抜粋。レポート&インタビューは本誌記事に続く)
インタビュー・文=小川智宏 撮影=タカギユウスケ、aoi / アオイ
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
『ROCKIN'ON JAPAN』8月号のご購入はこちら