シャイトープのメジャーデビューシングル“ヒカリアウ”、その4分間の物語を聴き終わった瞬間、あまりに完璧すぎる仕上がりにふっとため息が漏れた。デビューシングルの曲調がどの方向性なのかずっと気になっていたが、彼らが選んだのはどこまでも熱く燃え盛るロックサウンドだった。できるだけ、今、この世の中で生きている人たちに近い出来事をなんとか歌にしたい。
そのほうが歌で寄り添ってあげることができるから
シャイトープはずっと「音楽ですべての人の日常に寄り添いたい」と言っている。すべての人に寄り添うものを届けるには、誰かひとりに「自分のことを歌っている」と思わせる本質的なことを歌わなければならないし、その誰かひとりの数が無限になるようにあらゆる境遇に合致する普遍性を持っていなければならない。“ヒカリアウ”は、その相反する要素を完全に両立させた、とんでもない曲だ。歌が切り取る日常のコントラストを「生と死」にまで深めながら、誰にでも届く言葉で《生きて 生きて 生きてみようぜ》と歌う。サウンドは、言葉に火を焚べながら、さらに美しく火花を散らす──。こんなにもメジャーデビューにふさわしい曲はないだろう。シャイトープは、戦いのフィールドをメジャーに広げても、文字通り「すべての人」の日常に寄り添いながら、どこまでも勝ち続けてゆくに違いない──そう確信させられた“ヒカリアウ”に迸る静かな情熱を、このインタビューで感じてほしい。
インタビュー=畑雄介 撮影=北岡稔章
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
『ROCKIN'ON JAPAN』8月号のご購入はこちら