若かりし頃から自分の感情をコレクションしてたんです。
嬉しい、悲しい、怒りとかだけじゃない「こういう時の悲しい」とかをこと細かく
2023年11月号の本誌に「ヨルシカ n-bunaの原点」というインタビューを掲載した。ヨルシカの数々の名曲を生み出すn-bunaの「音楽的半生」を語ってもらったテキストだが、n-bunaは、まさに「音」や「言葉」そして、それらとセットになった「喪失」の感情というフィルターを通して、その半生に迫るのが相応しい表現者だった。今までにないヨルシカの音楽を読むためのテキストだったと思う。でも、もうひとつまだ読んだことのないヨルシカのテキストがあるはず。そう思ったのがこの「ヨルシカ suisの歩み」というインタビューをするきっかけだ。n-bunaが「音」と「言葉」の人だとしたら、もちろんsuisは「歌」、もっと言うなら「声」、さらには会って話してみないとわからない「何か」がある気がする。n-bunaの「喪失」の感情は「喪失」という言葉では足りないもので、suisの歌はそこに形を持たせる重要なピースである。このインタビューで、そのまだ誰も触れたことのない理由にはっきり触れた手応えを感じた。これもまた今までにないヨルシカの音楽を読むための重要なテキストになった。
インタビュー=古河晋
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
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