【JAPAN最新号】星野源、待望の新曲“喜劇”を聴いた!

【JAPAN最新号】星野源、待望の新曲“喜劇”を聴いた!
現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』6月号「SCENE SPECIAL!」に星野源が登場!

待望の新曲“喜劇”を聴いた!
あたたかい眼差しに貫かれた「家族」の歌。
新曲“喜劇”が泣き笑いの癒しをもたらす理由

文=杉浦美恵


星野源が先日リリースした待望の新曲“喜劇”は、アニメ『SPY×FAMILY』のエンディング主題歌として書き下ろされた楽曲である。初めて聴き終えた時、思わず深い溜息が出た。もちろんネガティブな溜息ではない。溜息というよりも、何か自分の心の奥底に澱のように溜まっていたもの、その一部が気管を這い上がって吐き出されたような、そんな感覚だった。この感覚を癒しと呼んでいいのかどうかはわからない。けれど“喜劇”はそのサウンドの在り方を含め、多くの人の心を解きほぐす音楽だと思う。少なくとも私にとってはそんな楽曲だ。

『SPY×FAMILY』の主題歌として、物語の登場人物に120%の近さで寄り添いながら、そこに同時に星野源の「人間」とか「家族」というものの捉え方がこれまで以上に明確に浮かび上がる。これまでも映画やドラマなど数々の「主題歌」を手がけてきた星野源は、一貫して、物語に最大限に寄り添いながらも、自身のやりたい音楽を追求するという向き合い方で楽曲に取り組んできた。今作とて例外ではない。しかしこの“喜劇”という楽曲では、その部分を公約数的に絞りこんでテーマを見出すというよりも、物語の世界観×星野源自身の音楽が公倍数的にかけ合わさって、すべてを大きく包み込むような、とても「現実的」なあたたかさを生み出しているのだ。だから直接的に聴き手の心に作用する。芯の部分まで熱が伝わって抽象的ではない癒しを感じる。決して画一的ではない「家族」の在り方、そして「人間の生」の無限の在り様を肯定する歌が――そのテーマは星野源の過去の曲にも通底するが――今作でより色濃く、明確に提示されているのだ。それはやはり『SPY×FAMILY』という作品に対する、星野源の深い共鳴があったからこそだ。“喜劇”について、リリース後に星野はこれまで以上に丁寧に楽曲の解説をしようと試みていて、『星野源のオールナイトニッポン』の放送のなかでもリスナーからの質問に丁寧に答えていたり、自身のYouTubeチャンネルでもオーディオライナーノーツを公開(この原稿を書いている時点では、「EP.1」が公開されている)したりと、楽曲で描いたテーマについて、できるだけきちんと届くように伝えたいというモードにあるのがよくわかる。それだけ、この楽曲が描くもの、そのテーマが繊細でリアルであること、そのぶんそこに向き合った時間の濃密さをも窺い知ることができる。(以下、本誌記事に続く)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年6月号より抜粋)


【JAPAN最新号】星野源、待望の新曲“喜劇”を聴いた! - 『ROCKIN’ON JAPAN』2022年6月号『ROCKIN’ON JAPAN』2022年6月号
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